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「介護職員の医行為の解禁」についての要望書(2011.04.28)

八戸大学の篠崎良勝さんは、介護保険法改正案とともに国会に提出されている「社会福祉士及び介護福祉士法の一部改正案」の介護職員による医行為の解禁について、4月28日、衆議院厚生労働委員会、参議院厚生労働委員会に所属するすべての国会議員に下記の要望書を送付しました。

 

医行為についての要望書.doc

 

社会福祉士及び介護福祉士法の一部改正案
「介護職員の医行為の解禁」についての要望書

 

要望の趣旨
 4月29日現在、第177回国会に「介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案」が提出されています。
 同時に「社会福祉士及び介護福祉士法の一部改正案」が出され、介護福祉士による部分的な医行為(喀痰吸引等)の解禁が目指されています。
 在宅の障害者、高齢者からの要望が強く、厚生労働省検討会でサービス提供事業者の同意もあると言われていますが、安易な医行為の解禁に対して危機感を抱いています。
 「社会福祉士及び介護福祉士法の一部改正案」の審議にあたっては、充分な検討をしていただくため、以下の要望させていただきます。

 

2011年4月29日
八戸大学 篠崎良勝

 

1 「喀痰吸引等」の医行為は本来、医療従事者(訪問看護事業所の訪問看護師等)が提供するものです。
 在宅の要介護高齢者や障害者等にとって本当の安心・安全な"在宅推進"とは、「訪問看護事業所が増え、訪問看護事業所と訪問介護事業所で利用者の情報を共有する機会を義務付け、介護職員は身体介護・生活支援の技術の質的向上に努める」ことだと考えます。

 

2 医療従事者の拡充を図るのが合理的な対策ですが、担い手不足などの事情から、今回の改正案では、新たな研修により、部分的な医行為(喀痰吸引等)を介護職員に担わせようとしています。

 

3 百歩譲って、介護職員の部分的な医行為により"在宅推進"に踏み出すことができたとしても、それは在宅の要介護高齢者や障害者等に、医行為の危険性を周知しないことになります。
 また、ひとつ間違えば、介護職員自身が加害者となる可能性もあります。

 

4 また、介護職員が部分的な医行為を提供するという状況は、要介護者等の「医療従事者から医行為を受ける」権利を奪うことにもなります。

 

5 そして、介護職員が部分的にしろ「喀痰吸引等」を行うためには、「喀痰吸引等」を医行為から外して、生活関連行為とし、介護職員のみに許される業務とすべきです(介護従事者の業務独占行為の創設)。

 

6 介護職員の部分的な医行為は安易に解禁するのではなく、下記のような条件のもとに検討してください。


「介護職の医行為の解禁」にあたっての要望事項

 

1 介護現場における医療従事者(特に看護師及び訪問看護師)が不足していることに端を発する「社会福祉士及び介護福祉士法の一部改正案」により、介護職員が医療従事者(コ・メディカル)と位置づけられることになります。
 しかし、介護高齢者にとって、介護職員は身体介護及び生活援助という介護行為を提供する唯一の生活支援専門職です。
 したがって、「喀痰吸引等」を将来的には、医行為ではなく生活行為とし、介護職員を生活支援専門職と位置づけるために、「介護保険制度における介護職員の業務範囲の拡大及び見直しに関する検討会」(仮称)を設置して検討することを解禁の条件としてください。

 

2 今回の「社会福祉士及び介護福祉士法の一部改正案」は、介護現場における医療従事者(特に看護師及び訪問看護師)が不足していることに主な原因があり、介護職員を医療従事者(コ・メディカル)に位置づけるにより代替しようというものです。
 これまで看護師等が実施してきた「喀痰吸引等」を介護職員に認めるのであれば、「同一労働同一賃金」を前提とする必要があります。
 介護職員の「喀痰吸引等」には、看護師等が医行為を実施した際に給付されるのと同等の介護報酬、同等の労働環境を前提とすることを条件としてください。