介護保険制度を中心とする行政情報、各地の市民活動団体の活動などを紹介しながら、みなさんとともに「市民福祉」を考えていくサイトです。

4.誰も責める人がいない(9月5日)

 第79回社会保障審議会介護給付費分科会は、
①「介護サービス利用者に対する医療提供のあり方について」と
②「介護支援専門員の資質向上と今後のあり方に関する基礎調査について」の報告がありました。

 

流行りは「地域包括ケア」
 ①の議論では、各介護サービスにおける医療提供のあり方についてと、看取りの対応の強化が、主な論点でしたが、考えるところの多い意見(隠れた要望)でした。
 「退院してから、介護サービスを提供するまでに、医療と介護の円滑な連携が必要」という当たり前の意見が出るということは、「今までそうでなかった」と言っているのと同じことでは?と思いました。
 また、「医療側の看取り、介護側の看取りに対するコストの精査を行う必要がある。」という意見には、それぞれ同じように連携をしていても、評価(=連携加算)が違うと言い、それは、付くお金が違う=自分の所の加算をあげて欲しい・・・ということなのでしょう。
 一方、老人保健施設では、アリセプトや一部高価な薬剤は使用できません」といわれる割に、「7種類以上の服薬を行っているケースが多く、見直す必要がある」という意見に驚きました。
 そして、「各サービスにおける医療提供のあり方ではなく、地域包括ケアシステムの考えに沿って議論して欲しい。」という意見も・・・。
 やはり、流行りは「地域包括ケア」なのですね。

 

ケアマネ調査の回収率は低調
 ②の議論では、2011年3月22日~3月31日の期間で、10,028事業所に対して行われた「ケアマネジメント実態調査」のアンケート結果について、中間報告が行われました。
 しかし、こちらのアンケート結果の回収率が大変低いこともあり、座長の度々の「打ち止め」の制止により、この数値を基にしての議論は行われませんでした。
 回収率は事業所管理者(18.6%)、ケアマネ(10.9%)、個別ケース(9.3%)・・・私から見ても、低いと思いました。
 調査結果については、川又竹男振興課長の説明より、
①まだ集計をしただけなのだが、同居家族がいるほど介護度が高い。
②別居家族が介護に携わるほど介護度が低い。
③保有資格によっての状態像の視点等は差異がないが、医療連携に関しては福祉職の方が苦手意識がある
 という見解が示されました。

 

ケアマネ自体をリセット?
 しかし、池田省三委員(地域ケア政策ネットワーク研究主幹)からは、
「まったく意味がない。家族依存型のプランが多いことがわかったというだけ」と言う前置きと共に、有効回収率の低さについて、「経営実態調査も含めて、こんなに回収率が低い調査を基に検討はできない。なぜなんですか? そもそも回答した1割は問題のない上澄みで、残りの9割が問題。意識が低いのであれば、ケアマネ自体をリセットすることも含めて考える必要もあるような極めて深刻な状況」と指摘がありました。
 そして、回答率の低さと、どのような依頼の仕方をしたかについて、強い口調で木村隆次委員(日本薬剤師会常務理事・日本介護支援専門員協会会長)と事務局に説明を求めました(この点については、私も興味がありました)。

 

膨大な量の質問票
 川又課長からは、以下の理由が説明されました。
①震災直後にアンケートを送付したため、現地での協力を得にくかった。
②アンケート内容の項目が細かすぎた。
③アンケートが3種類あり、特に個別ケース票のアンケートの依頼方法に問題があった。
 私は、膨大な量の質問票を見て、大震災だけが理由でないような気がします。
 いくら、丁寧な文面のお手紙が来たとしても、厚生労働省や日本介護支援専門員協会会長の木村委員の名前が書いてあったとしても、それだけで、あのアンケート票に「協力しよう」という気持ちになるのかどうか?と考えてしまいました。
 ましてや、最近はケアマネ批判ばかりを聞くので、また何に利用されるのだろう......と疑って、ちゅうちょする人の方が多いのではないでしょうか?
 また、「あれだけ多くの質問に答えている時間がない」ということもあるのだと思います。
(質問票については、第79回介護給付費分科会資料を参照してください)

 

誰も責める人がいない
 木村委員に至っては、「(ケアマネの)意識の問題もある」と回答してしまい、これでは、「回答しないのは、ケアマネの意識が低いから」と言ってしまっているようなもので、会員に対しても失礼で、とても重大な発言です。
(大臣の失言は責められても、ここでは誰も責める人がいないので、伸び伸びと本音が出てしまったのでしょうか?)
 武久洋三委員(日本慢性期医療協会会長)からも「看護職の方がいいプランを作れるとはっきりしているのに、変わらないという結果が出ること自体がよくわからない」という発言もあり、他の委員からも「御用聞きレベル」という発言が、相も変わらずありました。
 もう結論ありきで、太刀打ちできないのかも知れません。

 

認知症の確定診断
 ③では、「特別養護老人ホームにおける認知症高齢者の原因疾患別アプローチとケアのあり方調査研究の報告」の説明がありました。
 とても興味深い内容でした。
 ここでも、今更ながら「原因疾患を踏まえた個別ケア」と言っており、今まで進んでこなかったのね・・・とわかってしまいました。
 まず、入所時に認知症の確定診断を受けていない人が多いことに驚きました。
 「認知症」は、病名ではなく、状態を表す言葉なのに、「認知症」のみで入所されてくるそうです。
 色々な認知症があるのに、ひとくくりにするのは、私も問題があると思いました。
 しかしながら、確定診断をすることで、その後の対応、薬の処方が変わる(減る)などして、より適切な対応が可能となるのならば、確定診断を行う事で、これからの認知症ケアについても、少し明るい見通しがあるのではと思います。
 でも、診断ができる医師がいること、専門外の医師が患者の抱え込みをしないことが、前提となってきますが・・・。
 BPSDがどうにもならなくなってから専門医にかかるということがないように、家にいるうちから出来るとよいなぁ。(ケアマネ支援員)