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「生活援助」短縮について厚生労働省に要望書を提出(2013.02.04)
「要介護者の暮らしを考える会」は2月4日、厚生労働省老健局長、衆議院厚生労働委員会委員、参議院厚生労働委員会委員に下記のような要望書を提出しました。
厚生労働省交渉では、要望1について3月までに文書回答のうえ懇談の予定、要望2については『介護給付費実態調査』のデータをもとに「短時間となったケースは約20%で、現状維持80%」とみているとの回答があったそうです。

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厚生労働省老健局長     
原勝則様

2013年2月4日

要介護者の暮らしを考える会代表世話人
櫻井和代
連絡先 東京都江戸川区江戸川1-28-59
TEL・FAX.03-3670-6784

厳寒の候、ますますご清祥のことと存じます。
私たち「要介護者の暮らしを考える会」は、
市民の目で身近なところから要介護者の暮らしを考え、
当事者(要介護者と家族や介護職等の介護者)の立場から
声を出していくことを目的として、
2011年に活動を開始しました。
介護保険の在宅サービスを支えるホームヘルパーを中心とする介護労働者や、
介護認定審査会委員、第三者評価者、地域のボランティアなどの
草の根的なメンバーで構成されています。

介護保険制度からはじまって13年が過ぎ、
在宅サービスの利用者は増加の一途ですが、
ホームヘルパーなど介護労働者の労働環境は、
高い離職率と低賃金が招く不安定な状況のまま推移しています。
介護を必要とする人(要介護者)の在宅生活を最期まで支えるために、
私たちは在宅サービスを担う介護労働者の労働条件の改善を求めます。

要望

1.公的介護保険制度にふさわしい、介護職の労働環境を実現して下さい。

今冬はノロウィルス、インフルエンザが大流行し、
介護施設では入居者の死亡例が相次いで報道されましたが、
在宅サービスでも多くの利用者が罹患しています。
利用者宅に訪問したホームヘルパーが感染した場合、
因果関係は証明されにくく、
私病として無給になります。
ホームヘルパーの八割近くは「登録型」という非正規雇用で、
感染の問題だけでなく、
通勤時間の賃金保障も含めて労働基盤はとても脆弱です。
上記の件に関しては、休業補償を講じる等
適切な法的整備を行って下さるよう要望いたします。
厚生労働省には在宅高齢者を支えるホームヘルパー労働の課題に
明確な認識をしていただき、
ホームヘルパーの労働に対する正当な対価の保障、
労働環境の改善を実施することを求めます。

2.利用者の在宅生活継続を維持できるために、
訪問介護の業務内容に生活援助の正当な位置付をしてください。

現在、在宅に於ける利用者の年齢は90歳を超えており、
その生活はなんらかのサポートなしには
維持・継続が危ぶまれる状況です。
財源を切り口に「NPO・町会」等のボランティアに
生活援助を肩代わりさせる事は止め、
訪問介護の業務内容に生活援助の正当な位置付をして下さい。
生活援助は、介護予防・自立支援に必要不可欠なものです。     

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[時間短縮で要介護者の暮らしの生活援助事例]
 
○70代・男性・要介護1・ひとり暮らし
 食道と胃がんの術後
 週2回、入浴(身体介護)、買い物代行+掃除+洗濯+環境整備等(生活援助)
週1回のたまった衣類の洗濯は、全自動洗濯機で80分かかり、干すところまで行なうと、現在でも時間いっぱい。
生活援助の提供時間が45分になると、室内で杖を使う本人に干してもらうことになるが、転倒の危険が高い。

○92歳・女性・要介護1・独居
 高血圧、糖尿病、認知症、両膝変形性関節症
 入浴援助後に1時間で調理、洗濯、買い物
掃除は満足に出来ない。
現在でも食事が取れていなかったり、内服もできなかったりするため、限度額内での毎日の利用は必要で、サービスをへらすと体調を崩し、在宅生活の維持は困難となり、入所。

○84歳・男性・要介護1・独居
 肺気腫、胃がん、膀胱がん、薬剤性パーキンソン
ご本人入院中に妻が死亡。
そのため気力低下が顕著。
近くのコンビニに買い物に行っているが、45分になるとおかゆと調理の支援が時間に間に合わない。
洗濯機にかけても干す時間が終了間際で、本人に干してもらうのはスター部の近くの物干し場なので危険。
ご本人常にベッドから怒鳴っている方なのでコミュニケーションを取りながらの支援はますます困難になる。

○79歳・女性・要支援2・独居
 両膝変形性膝関節症、腰部脊柱管狭窄症、骨粗しょう症、心房細動ペースメーカー術後、眼瞼下垂
週1回の訪問の為、埃がある。
病気との関係で掃除機がけが必要。
体調不良で食事も取れていない事が多い。
何度も転倒している為見守りながらの支援が必要。
2回に増やしたいが経済状況が厳しく無理。

○78歳・女性・要介護1・独居
 糖尿病、高血圧、狭心症、網膜剥離の為全盲
全盲の為ゴミが散らかっている中に猫が居るため汚れがひどい。
ヘルパーの訪問が唯一。
時間がない中コミュニケーションを取りながらの支援なので、時間が短くなると精神的に不安定になる。
仕事は調理、買い物、ゴミだし、掃除、洗濯もの干し、灯油入れ、郵便物の確認など週2回。

○75歳・男性・要介護2・独居
 脳梗塞左麻痺、糖尿病
 週3回調理、掃除等家事全般。
妻が精神疾患で自殺後、意欲低下という状況で訪問開始。
食事量の低下、食欲不振。
本人一人で買い物に行くと転倒、外出は困難。
短時間化によりバランス配慮した食事作りが難しくなった。 

○65歳・女性・要介護2・独居
 脳梗塞左不全麻痺、糖尿病、うつ病、車いす使用
 週2回買い物、洗濯、掃除等
日常生活時、車いす使用の為、移動時の導線の確保が重要で掃除にかかる。
本人も手の届く範囲は掃除しているが頑張りすぎて体調を崩す。
90分→60分となった結果、きき手が腱鞘炎になった。

○85歳・女性・要介護1・日中独居
 変形性両膝関節症、糖尿病、狭心症
 週2回調理・掃除。
本人がかがむ動作が出来ないので、そこへの援助として掃除の援助と糖尿病に対応した調理をしています。
90分→60分になり、掃除が不十分と不満足。

○75歳・女性・要介護2・独居
 脳梗塞右麻痺、失語症
 週5回 調理、掃除、買い物、洗濯
歩行状態が不安定の為、転倒が多い。
買い物、出来ない部分の調理、掃除、洗濯をヘルパーが代行しているが、一緒に続けている料理は時間が短くなっても優先してゆきたいが、難しい。
介護保険のサービスとは利用者が生活を継続できるように自立を支援してゆくもので、援助の時間を短縮してしまう事は、利用者が自宅で自立して生活していくという希望もなくしてしまうのではないかと感じる。
体に負担がかかり、動きを維持するどころか転倒や足の痛みが続き入院、その後入所。

○80代・男性・要介護2・独居
 認知症、高血圧、糖尿病
 365日朝・夕の連日訪問
短期記憶保持が困難。滞在中に「あれ?来ていたの?」という。
壮年期に役責の仕事をしていた関係で非常にプライドが高い。
「あなたがたに悪いが、料理も私の方が上手だ」「自分でやらないと、体が動かなくなる」とヘルパーの援助を拒否。
服薬も重複内服が多い。
配食サービスは口に合わないといっさい手つかずで断った。
実際の援助は「老計10号」によると認知症の方への自立支援への働きかけは生活援助ではなく身体介護であるが、365日の援助の必要から生活援助での訪問をしている。
 
上記のような要介護者の生活を支えているのは、非正規雇用の登録・パートヘルパー(訪問介護員)です。
私達、介護職は社会的役割を認識し、「生活の質」と「自立」へむけての働きかけの実践を続けていますが、援助時間の削減・生活援助への不理解は要介護者の生活の継続を危ぶむものとなっています。
また、多くは出来高払いの不安定な給与体系の為、援助時間の削減は直接、収入減となっており、離職率を高めており、緊急の対応が必要である事をご理解頂きたいと思います。 
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