介護保険制度を中心とする行政情報、各地の市民活動団体の活動などを紹介しながら、みなさんとともに「市民福祉」を考えていくサイトです。

CF072 『ネブラスカ』 Nebraska
だまされても賞金がほしい理由(わけ)

アメリカ中西部は茫漠たるところだ...というのがモノクロで撮影された本作の第一印象。
モンタナ州ビリングスに暮らすウディ・グラント(ブルース・ダーン)は70代後半のアル中で、運転免許も取り上げられている。
おしゃべりな妻・ケイト(ジューン・スキッブ)とふたり暮らしだが、100万ドルの賞金が当たったと思いこみ、ネブラスカ州リンカーンまで、歩いてでももらいに行くと徘徊を繰り返す。

次男のデイビッドは、ウディがさまようたびに呼び出される。線路で落としたウディの入れ歯を父子で探しながらの会話がユーモラス。
デイビッドは恋人に愛想を尽かされ、仕事も面白くない。
そこで、無駄と知りつつ父親につきあい、車でリンカーンを目指すことにした。
だが、旅の夜、こっそり酒を飲みに出たウディは転んで、ケガをしてしまう。
ケイトがバスで駆けつけ、休息を兼ねてウディの生まれ故郷・ホーソーンの兄夫婦の家に立ち寄ることになった。

ウディは町の郊外の農家で生まれ、自動車修理工場を経営していた。
酒場でかつての共同経営者に出会った彼は、息子の口止めもむなしく、賞金が当たったと話してしまう。
翌日、町中がウディの噂でもちきり。地元新聞社が写真を撮りに来るわ、みんなに祝福されるわ、あげくは知人や親戚から借金を返せという話がいくつも出てくる騒ぎに...。

1500キロに及ぶ長距離ドライブの途上、デイビッドは無口な父親が朝鮮戦争(1950~1953年)の従軍パイロットだったこと、復員後のPTSD(心的外傷後ストレス障害)が原因で酒に溺れていたことを知る。
旅の終盤、デイビッドはようやく父親に「暮らしていけるのに、なぜ賞金がほしいの」と理由をたずねる。
「一度でいいから新車のトラックがほしい」というささやかな願いと、「おまえたちに何か残したかったんだ」というセリフに、息子はほろりとさせられる。
高齢化と失業が押し寄せるアメリカのローカルエリアに、テレビとビール、車がすべての人びとの暮らしぶりが印象に残る。


(アレクサンダー・ペイン監督/2013年/アメリカ/115分)