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CF075 『8月の家族たち』 August: Osage County
あからさまな家族紛争の果てに...

舞台はアメリカ中西部のオクラホマ州オーセージ郡のウェストン家。
年中、竜巻が起こるという大平原の夏は、「熱帯生まれのインコが熱死する」という暑さ。

ベバリー(サム・シェパード)とバイオレット(メリル・ストリープ)は、アル中の夫に口腔がんの妻という高齢夫婦世帯。
バイオレットは化学療法中で、薬物依存症もあり、夫に四六時中、悪口雑言をあびせている。
「人生はとても長い」と耐えるベバリーだが、妻のためにネイティブ・アメリカンのジョナ(ミスティ・アッパム)をホームヘルパーとして雇った直後に、失踪してしまった。

駆けつけたのは、三人の中年娘たち。
近くに住む次女・アイビー(ジュリアン・ニコルソン)は独身で化粧っけもなく、時折、父母の元に通っていた。
父に期待されていた長女・バーバラ(ジュリア・ロバーツ)は14歳の娘と別居中の夫を伴い、コロラド州から車を飛ばして来た。
三女・カレン(ジュリエット・ルイス)は、三度の離婚歴のある婚約者と浮かれて登場。
バイオレットは早速、「私がガンになっても帰ってこないのに、パパがいなくなったらすっ飛んできた」と娘たちに毒づく。

だが、翌日、ベバリーは水死体でみつかる。
誰もが自殺を疑うなか、バイオレットの妹夫婦とその息子も合流し、葬儀を終えての会食がはじまったが...。

原作はトニー賞などを受賞した戯曲とのことだが、母と娘たちの口汚いまでの口論に唖然としつつ、『バージニア・ウルフなんてこわくない』(マイク・ニコルズ監督、1966年)というエリザベス・テーラーとリチャード・バートンの夫婦喧嘩作品を思い出した。

遺産は自分のものだと主張する母に、娘たちはとりあえず従う。
だが、死んだ夫をけなす母をバーバラが組み敷き、大量の薬を取りあげる。
「あなたたちに人生を捧げ、見捨てられた」とわめく母を前に、娘たちは内心、誰が看るのか探り合っているようだ。

そして、カレンは婚約者がバーバラの娘に手を出そうとしたのをきっかけに、アイビーは恋愛関係の従弟が実は異母弟であることを知り、大平原の家から去った。
残されたアイビーもまた、母が語った真実に衝撃を受け、パジャマ姿のまま飛び出した。

日本にもありそうな葛藤と復讐の家族関係だが、互いがズタズタになるまで相対してやりあうアメリカ的風景に圧倒されもする。


(マイク・ミルズ監督/2010年/アメリカ/105分)