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介護労働ホットライン実行委、厚生労働大臣に要望書を提出(2015.06.12)
2015年度介護報酬改定では、介護職員処遇改善加算を拡大し、職員ひとり当たり月1万2000円の引き上げと言われていますが、基本報酬の引き下げが基本給に与える影響が懸念されます。
厚生労働省老健局は2008年度から「介護従事者処遇状況等調査」を実施し、今年も10月に調査を予定しています。
2013年、2014年と電話相談を実施した介護労働ホットライン実行委員会は、今年度の介護報酬改定が介護労働者の給与に与える影響について、きちんとした調査を実施するよう、6月12日、塩崎厚生労働大臣に「介護労働者の給与実態を把握する調査に関する要望書」を提出しました。

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厚生労働大臣 塩崎 恭久 様

2015年6月12日
介護労働ホットライン実行委員会
共同代表(弁護士):大江京子、井堀哲、藤澤整

介護労働者の給与実態を把握する調査に関する要望書

 日頃から、行政全般にわたる推進にご奮闘されていることに敬意を表します。
 「介護労働ホットライン実行委員会」は、弁護士と市民活動団体のメンバーで構成するNPOで、2013年、2014年に電話相談「介護労働ホットライン」を開設し、全国の介護労働者からの相談を受け、昨年11月には厚生労働大臣、財務大臣に、①介護職員の賃金水準を確実に改善する施策の実施、②介護事業所での労働基準法遵守の徹底、③介護労働の実態を正確に把握する現状調査の速やかな実施の三点を要望しました。
 2015年度介護報酬改定では、介護職員処遇改善加算が継続され、消費税投入により「1人当たり月1万2千円程度」の拡大とされています。
 しかし、基本報酬はマイナス改定となり、介護職員の賃金水準が改善されるのか大きな危惧を抱かざるを得ません。
 また、厚生労働省は2009年度以降、処遇改善の効果を検証するため「介護従事者処遇状況等調査」を実施し、今年10月には2015年度調査の実施が予定されています。
 介護労働者の安定的な確保は喫緊の課題でありその実態と課題を正確に把握したうえでの対策が重要です。介護労働者の給与実態の把握について、以下の要望をいたします。

1. 介護従事者処遇状況等調査は、サービス別の調査対象事業所の抽出率を平準化すること
2. 介護従事者処遇状況等調査は、個人情報を削除したうえで、集計前のデータを全て公開すること
3. 介護従事者処遇状況等調査のデータ集計では、事業所規模別の平均給与額、都道府県別の平均給与額、給与の最高額・最低額、給与段階別の介護労働者の割合を公表すること
4. 賃金構造基本統計調査、勤労統計調査など統計調査の産業別集計はすべて、「医療、福祉」ではなく、「医療」「介護」「福祉」に分類すること

以上

介護労働ホットライン実行委員会事務局(市民福祉情報オフィス・ハスカップ)
〒113-0033 東京都文京区本郷2-16-12 ストーク森山302 八月書館気付
 
[別紙]
1. 調査対象事業所の抽出率は、在宅サービスが低すぎます
「介護従事者処遇状況等調査」の調査対象事業所の抽出方法は、「調査対象サービスごとに、1/4~1/20で設定」としていますが、在宅サービスの抽出率が低い理由はあいまいで、在宅サービスに従事する介護労働者の給与実態が把握されない可能性があります。
介護保険サービスの利用者の7割超は在宅サービスの利用者であり、また、今後推進される「住み慣れた地域」で利用者を支える地域包括ケアシステムを実現するためにも、在宅サービス事業所の抽出率を施設サービスと同程度に平準化する必要があります。

2. 全国平均給与額だけでは実態が把握されません
「介護従事者処遇状況等調査」の「結果の概況」は全国平均、サービス事業所別全国平均の給与額しか公表されていません。しかし、電話相談では最低賃金を下回るケースのほか、事業所が介護職員処遇改善加算を申請しているにもかかわらず給与引き上げはないといった事例も寄せられています。都道府県別と事業所規模別の平均給与額、給与額の最高額・最低額、給与段階別の介護労働者の割合などが集計・公表されなければ、課題の整理に至ることはできません。
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