介護保険制度を中心とする行政情報、各地の市民活動団体の活動などを紹介しながら、みなさんとともに「市民福祉」を考えていくサイトです。

第1回口頭弁論(2015.10.27)ハスカップの意見陳述
ハスカップ裁判は10月27日、東京地方裁判所721号法廷で第1回口頭弁論が行なわれました。
10月20日には被告答弁書が提出されました。
第1回口頭弁論で原告の意見陳述の機会があり、被告答弁書について、市民福祉情報オフィス・ハスカップは下記のように意見を述べました。

ハスカップ裁判第1回口頭弁論(2015.10.27)
被告答弁書に対する原告意見陳述書

市民福祉情報オフィス・ハスカップ 小竹雅子

 私は1981年から30年以上、障害者、高齢者の権利擁護の視点から、市民活動を続けてきました。
 活動が長く続いているのは、電話や手紙、メールなどで寄せられる当事者の声に背中を押されてきたからです。
 障害や高齢の人は「社会的弱者」とも呼ばれ、情報からも疎外され、不利益や不幸がたくさんあります。
 しかし、すべての人にはふつうに暮らす権利があります。
 「社会的弱者」の課題は広く社会で共有し、解決に向かうべきだと信じて、活動を続けてきました。

 介護保険制度がはじまる時、現在の厚生労働省は、戦後、一貫して続いてきた措置制度、行政処分の福祉サービスから、介護保険料という新たな負担は増えるけれど、「利用者本位」、当事者がみずからサービスを選び利用する「自己決定・自己選択」の制度に変わるのだと説明しました。
 それは、病気や障害のある人を権利主体として認める画期的な提案でした。
 しかし、果たして実現できるのだろうか、という不安も大きなものでした。
 実際のところ、制度は16年間で大きく変貌し、複雑になり、人々から遠ざかりつつあります。
 介護保険に限らず、行政資料は、とても分かりにくいものです。
 ほとんどは官庁のホームページで公開されていますが、正式名称がわからないなど、情報にたどりつくのは容易ではありません。

 私が「市民福祉情報オフィス・ハスカップ」の活動の中心にしているのは、まず、権利主体である利用者や介護者、介護現場で働く人の生の声を、電話相談や事例紹介などで知ることです。
 そして、さまざまな悩みや困難について、社会保障審議会の傍聴を続け、厚生労働省の資料や調査データを読み込み、どのように関連しているのかをつきとめます。
 そして、こうした作業で知った情報を、メールマガジン「市民福祉情報」で無料配信しています。
 制度を複雑にするのは、人びとの関心を失わせ、あきらめさせるためだ、という指摘もあります
 私も数百ページに及ぶ膨大な資料を前にくじけそうになることもありますが、あきらめてはいけないという反発心も活動の支えになっています。

 無料配信の活動を続けているのは、介護保険の利用者、介護者、介護現場で働く人たちなど、制度の主役であるはずの人たちに、少しでも複雑な制度について理解してもらいたい、おかしな見直しには一緒に声をあげてもらいたいという願いがあるからです。
それが、配信のたびに「非営利転載を歓迎します」と告知し、多くの人に知らせてくださいと呼びかけている理由です。

 メールマガジン「市民福祉情報」は2003年9月から無料配信を始め、現在841号を数えます。
 有限会社ハヤカワプランニングの早川氏は、介護保険のサービスを提供する事業者を対象に、有料の経営コンサルティングを行っていると聞いています。
 複雑な介護保険制度を専門とし、情報サービス業を営むプロフェッショナルが、なぜ、独自に収集した情報を有料で提供しないのでしょうか。
 なぜ、専門家であるにもかかわらず、10年以上にわたって、非営利の「市民福祉情報」のデータを横取りしてきたのでしょうか。
 なお、早川氏は「記事内容の一部」と主張していますが、冒頭と巻末だけはきちんと削除して、まるごとコピーを繰り返しているのは、「記事内容の大部」の誤りだと思います。

 早川氏が無料で公開転載していたのなら、私が膨大な資料から抽出し、分類整理したメールマガジン「市民福祉情報」の大部をコピーしたのであっても、許せるものです。
 しかし、外部には知られることのない会員限定サイトで、出典を削除し、730回以上も有料で配信されていたのは、無念としかいいようがありません。

 メールマガジン「市民福祉情報」は、第200号から現在の842号まで、毎回、「友人・知人などへの非営利転送を歓迎します」と呼びかけ、「引用、転載される場合、出典としてメイル・ミニコミ『市民福祉情報』を明記してください」としています。
 早川氏は少なくとも600回以上、その但し書きの削除を続けたのですから、「営利転送は歓迎しない」ことを知らなかったと言われても、了解できることではありません。

 また、早川氏は、提訴を契機にまることコピーの有料配信を中止したからいいだろう、と主張しています。
 これでは、10年以上も大部コピーを繰り返してきたことへの反省はまったくなく、かつ、私には会員限定サイトの有料配信を中止したのかどうか、いまだに確認する手段はありません。

 そして、早川氏は、謝罪広告の求めについて、私が提訴して、記者会見で告知し、早川氏は無断複製を認めているのだから、「もう誤解が生じるおそれもない」としています。
 そして、「南船北馬の会員に訂正の広告を配信すれば足りる」としています。
 繰り返しになりますが、私が早川氏の無断有料転載の行為を知ることができなかったのは、有料会員限定サイトという、外部からのアクセスを拒むウェブ上にコピーされていたからです。
 早川氏の会員だけに、それも謝罪ではなく、訂正を告知されても、私も含めて外部の人はその事実を確認することはできません。

 メールマガジン「市民福祉情報」の無償配信は、市民福祉情報オフィス・ハスカップの活動の中心でもあり、無償の対価を得ない活動であることを支持して、賛同してくださる方が全国各地にいます。
 私の活動を信頼してくださる人たちに安心していただくためにも、外部媒体における謝罪広告は大変な重要なことであり、改めて実現を求めたいと思います。

 早川氏は、訴訟前に私から請求や交渉があれば、事態は違ったはずだとも主張しています。
 しかし、事前に早川氏と交渉していたならば、10年以上にわたる無断有料転載について、謝罪どころか、「盗用との認識はない」と門前払いをされた可能性が高かったと思います。

 また、早川氏は、介護保険の専門家であるにもかかわらず、市民活動を知らないと主張しています。
 介護保険制度は、創設時から市民参画を提唱し、また、NPO法人に事業参入を呼びかけました。
特に、今年度の制度改定では、市区町村事業において、市民活動がさらに重要な位置づけになります。
 市民活動を知らないという主張は到底、受け入れることができる説明ではありません。
 早川氏が、介護保険の専門家で、情報サービス業を営んでいるにもかかわらず、悪意はなかった、盗用しているつもりはなかった、配信の目的は知らなかったと主張することについて、審理を重ねることによって、真摯に反省していただき、理解を深めていただきたいと、切実に願っています。


ハスカップ裁判メッセージ