介護保険制度を中心とする行政情報、各地の市民活動団体の活動などを紹介しながら、みなさんとともに「市民福祉」を考えていくサイトです。

PC2018-010 制度の基本原則を守れ!
PC2018-010 制度の基本原則を守れ!

小竹雅子

1.ケアプランの事前届け出制の義務化は制度原則に反するので、撤回を求める
 介護保険は、介護保険料を払う被保険者で、介護認定を受け、かつケアプランを作成するという三段階の条件をクリアしなければ、実際にサービスを利用することができない。
 また、認定ランクに応じて設定された利用限度額(区分支給限度基準額)の範囲でしか、給付を受けることはかなわない。
 さらに、ケアプランの作成には、市区町村が委託した地域包括支援センターの担当者か指定事業所である居宅介護支援事業所のケアマネジャーがつき、アセスメントを受け、合意したケアプラン原案について、さらにサービス担当者会議の検討を経て、最終プランに同意するという過程を求められる。
 これだけの作業を経なければ、受給にたどりつかない現行制度について、さらにホームヘルプ・サービスの「生活援助」のみ、ケアマネジャーに市区町村に事前に届け出を義務づけるのは、制度の基本原則を不当に改ざんするもので、到底受け入れることはできない。

2.「届出の要否の基準」は根拠がないので、撤回を求める
 厚生労働省の調査では、1日複数回「生活援助」を利用しているのは、認知症やともに認定をうけた老老世帯がほとんどで、市区町村の9割以上が複数回利用を妥当と回答している。
 また、介護保険のサービスを必要とする認定者は個別性が高いにもかかわらず、要介護度別の「届出の要否の基準となる回数」が定められている。
 全国消費実態調査では、在宅サービスを利用する者の費用は月1万円から1万2000円程度となっているが、在宅介護を必要とする者の利用量は経済力によって変動するのは明らかであり、厚生労働省の基準設定は非科学的で、非現実的なものであり、撤回を求める。

3.市区町村、地域ケア会議の責任を明確にすることを求める
 ケアマネジャーが事前に届け出たケアプランを査定する市区町村、あるいは地域ケア会議の責任があいまいである。
 厚生労働省の説明では、市区町村や地域ケア会議がケアマネジャーにアドバイスし、ケアマネジャーが自発的に認定者に説明と合意を求める手順になっている。
 なぜ、認定者を訪問することもなく、認定者の意向を確かめることもなく、市区町村や地域ケア会議がケアプランを査定することができるのか、根拠を明らかにしてもらいたい。
 また、届け出をしたケアプランの「生活援助」の利用回数を減らした場合、「生活援助」の不当な抑制は、介護が必要な者の生活環境の「ごみ屋敷化」、「孤立死化」をすすめる可能性が高いが、その結果に誰が責任を持つのかも明らかにしてもらいたい。

4.在宅認定者の全国実態調査を求める
 現在、7450万人が介護保険料を払っているにもかかわらず、認定者は600万人足らずで、決して受給率は高いとはいえない。
 また、介護認定を受けても、実際にはサービスを利用していない者が107万人になる。
 厚生労働省は介護保険制度創設以来、一貫して、在宅に暮らす認定者の実態調査を行なわない。
 認定者の「自己決定・自己選択」を標榜しながら、認定者に介護保険の利用のしずらさを聞くこともなく、利用者負担に耐えらるかどうかの実態を調査することもなく、一方的にホームヘルプ・サービスの「生活援助」だけをバッシングすることは到底、許容できない。
 今後も増える在宅の認定者の実態を把握するために、負担能力も含めて、全国実態調査を行なうことを求める。なお、調査票の設計や調査手法については、第三者機関を設置し、公正な調査を行なうことを求める。(案件番号495170418受付番号201804170000475027)