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PC2018-011 個別性を無視した基準に妥当性はない!
PC2018-011 個別性を無視した基準に妥当性はない!

服部万里子(NPO渋谷介護サポートセンター)

 ケアマネジメントを18年間続け、利用者さんと向きあってきた視点で意見を述べる。
 このまま進めば在宅生活の継続に困難性が出る。
 見直しが必要である。

1.要介護者の全国平均の回数を基準に生活支援サービスを制限することは誤りである。
 ケアプランは個別状況に即して作成される。
 加齢、心身の状況、疾患の状態、買い物や通院に困る地域やエレベーターのない都営住宅の5階に住むなどの居住環境、経済状態や家族との関係性などによる。
 このような個別性を無視した全国平均回数を基準にすること自体が妥当ではない。

2.家族が同居していると生活支援は受けられない。
 介護保険の利用者は要介護1・2が43%と多く、認知症が多い。
 買い物に歩けるが迷う。火の不始末で調理が不安。服薬管理ができない等の課題があり、生活支援は不可欠で、減らせば生活の継続が保てない人が出る。

3.介護保険の利用者の75%は居宅でサービスを利用している。
 サービス利用では福祉用具、通所介護に次いで訪問介護が3番目である。
 サービス別の一人あたりの金額では16番目であり、給付総額への影響は少ないが生活への影響は大きい。

4.介護保険の利用者は7割女性で、80歳以上が75%である。
 訪問介護の内容では掃除がトップである。
 屈んで風呂場やトイレの掃除ができない、片麻痺で捕まると、ホウキやハタキが使えず、掃除機がかけられない実態がある。
 これを制限すればゴミ屋敷や不潔な生活環境で近隣からの孤立や感染症など健康維持の障害になる。個人の尊厳に関わる。

5.平成30年度からの市町村保険者機能強化交付金の項目に、地域ケア会議で生活支援回数の多いケアプランの検証実施があるが、保険者がケアマネジャーを通じてサービスを抑制し、それに国が諸賞金を出す行為はケアマネジメントの専門性の否定に通じる。
 利用者のサービス選択性に反する。同じことを医師の訪問看護の回数にも行うのか?

6.生活支援を共にして身体介護で請求する案が出ているが、装具を付け、杖ついて買い物同行すれば何倍もの時間がかかり、利用者は疲弊し、他のサービスの時間がとれず、回数が増える。 訪問介護は人手不足が加速し、介護保険の給付単価は増える。
 利用者、事業者、保険者皆困る。

7.訪問介護の1回あたりの時間は40~50分で、体調チェックから記録までする。
 介護保険開始以来ひとりあたりの利用金額は減少している。
 元気な人が買い物依頼をしているのではない。
 国は生活援助を保険から外しボランティアや企業の自費サービス、自治体に移行しようとしているが、介護保険創設時には「必要なサービスは保険で」と言い、40歳から死ぬまで保険料を強制徴収してきた。
 2割負担、3割負担を導入し、要支援は保険から外し、要介護は利用に制限を設けることは国民の信頼を裏切る行為である。

8.生活援助の単価を下げ、無資格者でも良いと59時間のカリキュラムを作り、29時間は自宅学習可としているが、総合事業の生活援助研修があり、ヘルパー3級を外したばかりで新たな研修は現場の混乱を招き、一貫性に欠ける。

9.この政策で苦しむのは独居の利用者、必死で支援する家族である。

 再考に期待したい。(案件番号495170418受付番号201804170000474994)