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2018.09.18 国会議員に「介護保険の見直しについての要望書」を提出しました
介護保険ホットライン企画委員会と介護労働ホットライン実行委員会は、9月18日に衆議院議員全員、9月21日に参議院議員全員に下記の要望書を提出しました。

国会議員のみなさまへ

2018年9月18日
介護保険ホットライン企画委員会
 共同代表 小竹雅子、小島美里、林洋子
介護労働ホットライン実行委員会
 共同代表 井堀哲、大江京子、藤澤整

介護保険の見直しについての要望書

 日頃から、国政全般にわたる推進にご奮闘されていることに敬意を表します。
 「介護保険ホットライン企画委員会」は介護保険制度について、利用者、介護者を中心に広く市民の声を集める電話相談を開設しています。「介護労働ホットライン実行委員会」は弁護士が中心となり、電話相談「介護労働ホットライン」を開設しています。
 現在、介護保険制度、とくに在宅サービスの見直しが下記のように目前に迫っていますが、以下、3項目について要望をいたしますので、ぜひ、国会でのご検証と、真摯なご議論をお願いいたします。

要望1. ケアプランの事前届け出制の中止を求めます。
要望2. ケアマネジメントの有料化構想に反対します。
要望3. 利用者負担が引き上げられた認定者への実態調査を求めます。

要望1. ケアプランの事前届け出制の中止を求めます。また、ホームヘルプ・サービスの「生活援助」を1日に複数回利用する人たちの在宅生活の実態および複数回利用の理由を調査することを求めます。
 本年10月には、ホームヘルプ・サービスの「生活援助」について、厚生労働省が定めた月に一定回数以上の利用をするケアプランを作成する場合、ケアマネジャーはあらかじめ、市区町村にケアプランを届け出ることが義務づけられます。
 厚生労働省が5月10日に発出した『「厚生労働大臣が定める回数及び訪問介護」の公布について』では、「要介護度別の最大値となる月の回数」として、要介護1は月27回、要介護2は月34回、要介護3は月43回、要介護4は月38回、要介護5は月31回という回数を示しています。これらの回数を超える場合、居宅介護支援事業所は市区町村にケアプランを提出することが義務付けられ、地域ケア会議が適否の検証をして居宅介護支援事業所を指導することになります。
 この回数では、要介護1の場合、1日1回の訪問にすらなりません。厚生労働省は「重度化防止の観点からより良いケアプランを提案するもの」であり、「一律に生活援助中心型指定訪問介護の利用を制限するといったものではない」と説明しています。しかし、制度の開始前からすでにケアマネジャーや市区町村のなかには先走りをして,「生活援助」の利用を制限する動きが生じています。
 認知症グループホームや、有料老人ホームなどの特定施設、そして施設サービスでは、24時間サービスが提供されています。なぜ、在宅サービスを選ぶ人たちだけが,必要とするサービスを事前に特別にチェックされて、事実上の制限をされなければならないのでしょうか。
 市区町村には、認定者のケアプランを強制的に制限する権限はありません。また、ケアプランの内容をチェックして指導をすることは、これまでの制度でも可能です。
 そもそも1日複数回の在宅サービスを利用する人の生活実態を調べることなく、事実上の利用制限を伴う可能性の高い事前届け出制を導入することは、人道上許されません。
 以上のことから、「生活援助」のみを狙い撃ちした、今回のケアプランの事前届出制の実施を中止することを要望します。あわせて、ホームヘルプ・サービスの「生活援助」を1日複数回利用している人たちの介護生活の実態、および複数回の利用をしている理由を調査することを求めます。

要望2. ケアマネジメントの有料化構想に反対します。
 財政制度等審議会の財政制度分科会(榊原定征・分科会長)は4月11日、「保険者におけるケアプランチェックと相まってケアマネジメントの質の向上を図る観点から、居宅介護支援に利用者負担を設ける必要」があるという『改革の方向性(案)』を公表し、ケアマネジメントに自己負担(利用料)を求めています。
 介護保険がはじまるとき、ケアマネジメント(介護予防支援、居宅介護支援)に自己負担がないのは、認定を受けた人たちがサービスの入り口で負担が発生することにより、利用をあきらめてしまうことを避けるためだという説明がされていました。
 今でも、在宅の高齢者の中には、経済的理由から介護保険サービスの利用をためらう人がいます。負担能力について実態調査もないなかでの、一方的なケアマネジメントへの利用者負担の導入については、慎重な審議をされることを要望いたします。

要望3. 利用者負担が引き上げられた認定者への実態調査を求めます。
 2018年8月以降、介護保険の2割負担(一定以上所得者)の認定者のうち、「医療保険の現役並み所得者」はさらに3割に引き上げが行われました。
昨年の通常国会では、3割負担の実施の前に、2割負担認定者の実態を調査することを求め、今年3月、報告書が公表されました。
 『介護保険における2割負担の導入による影響に関する調査事業報告書』(三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社、厚生労働省2017年度老人保健健康増進等事業)では、居宅介護支援事業所へのアンケート調査により、2割負担の認定者本人が「主たる生計維持者」である割合が7割を超えることが明らかになりました。1割負担の認定者本人では5割弱であるのに比べて、扶養家族がいる認定者が多いことがうかがえます。
 ぜひ、報告書について分析し、2割負担、3割負担の妥当性を検証することを求めます。
また、介護保険のサービスが必要とされた認定者のなかで、実際にサービスを利用していない「未利用者」は100万人を超えています。そして、要望1でも指摘しましたが、介護保険制度では、在宅サービスの利用者について総合的な実態調査が行われたことはありません。
 今後の見直しのためにも、まず認定者および利用者の生活実態が分かる情報の収集をして、課題を明らかにすることをあわせて要望いたします。

以上