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BF125 『年金だけでも暮らせます』
年金だけでも暮らせます 決定版・老後資産の守り方

2019年6月、金融審議会の報告書『高齢社会における資産形成・管理』が麻生太郎・大臣に受け取りを拒否されたことが話題になった。

この報告書は、金融審議会の市場ワーキング・グループ(神田秀樹・座長)がまとめた。
高齢夫婦の家計収支が毎月5万円赤字と想定したら、「20年で約1,300万円、30年で約2,000万円」の預貯金が必要になり、介護費用などが発生する場合は、これとは別に1000万円くらい必要で、夫婦で3000万円は必要になるという。
このシミュレーションは、総務省の『家計調査』の平均額にもとづくもので、金融庁がねつ造したわけでもなんでもない。
ただし、報告書の結論は金融サービス、つまり、投資をして資産を増やしましょうというものだ。

報告書を読んだ時、政府に問うべきなのは、老後の必要額ではなく、国民にリスキーな投資を勧めてもいいのか、ということではないかと思った。
それで読んでみたのが本書。
経済ジャーナリストの著者は、「定年時に3000万円の貯蓄が必要」という言説にだまされるなと戒める。
年金制度は簡単に破綻しないし、投資は景気が上がり調子の時にするもので、今は「投資をしない」という選択がベストと説く。
ただし、「出費を最低限に抑えて、現金を減らさない」ことが肝心で、「退職金はイザという時のために取っておく」、「できるだけ早く『貯金』を始める」というアドバイスが続く。
とりあえず、「国や銀行、郵便局」の「甘い言葉」を安易に信じてはいけないことはわかった。

(荻原博子著/PHP新書/800円+税)