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2020.09.23 全国老人福祉問題研究会「要介護者を総合事業の対象にする省令改正に反対します。」
全国老人福祉問題研究会から9月23日、厚生労働省令改正案に関するパフリック・コメントに提出した意見書が届きました。

2020.09.23 要介護者を総合事業の対象にする省令改正に反対します。

全国老人福祉問題研究会

 厚生労働省は、「総合事業の対象者の弾力化」と称し、要支援者が要介護者に移行する場合に、「それまで利用していた総合事業のサービスの利用が継続できなくなる」ため、「地域とのつながりを継続することを可能とする観点から」、市町村が行う地域支援事業の第1号事業介護予防・日常生活支援総合事業の対象に、「市町村の判断」、「本人の希望」が前提としつつ、それらの要介護者も、引き続き対象とすることを可能とする省令改正を打ち出しました。
 改正案では、要支援者から要介護者に移行した高齢者が、介護予防・日常生活支援総合事業サービスも継続して利用できるというだけでなく、それらの利用に留め置かれることも想定されます。
 さらには、そのことが呼び水となって、要介護1~5の要介護者も総合事業の対象に誘導され、受けられる介護サービスレベルは限りなく低下、縮小させられていくのではないかと危惧されます。
 今般の改定の裏には、要介護者に対する介護サービスの中から、生活援助サービスを切り離して、総合事業に移行させたいという、財務省の悲願があります。
 こうしたことが進めば、国、自治体の責任や介護保障すべき内容もあいまいになり、介護保険事業そのものが、無責任な総合事業化へと向かうのではないかという懸念が一層強まります。
 一方、2019年12月27日の社会保障審議会介護保険部会「介護保険制度の見直しに関する意見」では、要介護1、2の軽度者に係る生活援助サービス等の地域支援事業への移行に関して、「実施主体の担い手不足が解消される見込みもない中では市町村も対応できず、現段階での判断は現実的でない」とし、「訪問介護における生活援助サービスは身体介護とあわせて一体的に提供されることで有用性が発揮され、利用者の生活を支えており、要介護度にかかわらず同量のサービスを受けているが、切り離した場合には状態が悪化して給付増につながる懸念もあり、慎重に検討すべき」「重度化防止のためには専門職の介護が必要」「たとえ総合事業が充実したとしても、要介護認定を受けた人の給付の権利を奪うことは反対」との意見がだされました。
 最終的に、要介護1、2の高齢者の総合事業への移行は、「総合事業の実施状況や介護保険の運営主体である市町村の意向、利用者への影響等を踏まえながら、引き続き検討を行うことが適当である」と先送りされたという経緯があります。
 それにもかかわらず、厚生労働省は、課題についての抜本的な検討を行うことなく、なし崩し的に、要介護者の受給権、制度の骨格にかかわる変更を省令変更で行おうとしています。
 こうしたルール違反は到底認められません。当然、国会に諮るべきであり、国民をないがしろにする許しがたい行為といわねばなりません。今回の省令改正を撤回することを強く求めるものです。

2020年9月23日