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2020.11.24 介護保険制度の見直しについての財務省ヒアリング報告
2020.11.24 介護保険制度の見直しについての財務省ヒアリング報告

11月24日、岸真紀子・参議院議員のご協力を得て、介護保険制度の見直しについて、財務省と厚生労働省にヒアリングを行いました。
事前質問に対する財務省の回答を報告します。
(市民福祉情報オフィス・ハスカップ 小竹雅子)

日時 2020年11月24日(水)14時~14時30分
会場 参議院議員会館B106会議室
参加議員
 岸真紀子・参議院議員(総務委員会、決算委員会、地方創生及び消費者問題に関する特別委員会、資源エネルギーに関する調査会)
 大河原雅子・衆議院議員(内閣委員会、消費者問題に関する特別委員会)
 尾辻かな子・衆議院議員(厚生労働委員会、消費者問題に関する特別委員会)
回答者
 中対剛・財務省主計局厚生労働第二係主査

参考資料
○財政制度等審議会財政制度分科会(榊原定征・分科会長)
第8期介護保険事業計画に向けた見直し
○財務省
22.介護保険サービス(居宅介護支援等)(厚生労働省:一般会計)

質問1 ホームヘルパーの確保について
 ホームヘルパーの有効求人倍率15倍、就労者平均年齢50代半ばで、数年後には人手不足から訪問介護事業所の閉鎖が増加することが予測されます。
 財務省は、人材難の現状について、どのように考えているのか、見解を教えてください。

回答1
 われわれも要介護の方々を支えるための訪問介護は重要だと考えています。
 訪問介護だけでなく、通所介護やショートステイなど、その人の状態にあわせて適切に組み合わせて提供していくために、介護人材の確保が重要であると考えてあります。
 このため、一定の処遇改善を行ってきました。2019年10月からは経験技能のある方に重点化を図り、特定処遇改善をしています。
 また、生産性の向上を図る観点から、ICTを活用して、介護ロボットなどに補助を行い、現場の負担軽減を図る施策をおこなっているところです。

質問2 ホームヘルプ・サービスの「生活援助」の抑制について
 第7期介護報酬改定で、財政制度等審議会は、ホームヘルプ・サービスの「生活援助」の利用回数が多いと指摘し、認定ランクに応じて「通常かけ離れた利用回数」が設定されました。
 そして、今年4月、第8期介護報酬改定で、要介護1と2の人を「軽度者」と呼び、「軽度者向け生活援助サービス」を地域支援事業に移行する、あるいは「生活援助」のみに支給限度額を設定する、あるいは利用者負担を引き上げるように提案しました。
 財務省は利用回数という数字だけに着目していますが、ホームヘルプ・サービスを提供する現場を視察したことがあるのか、教えてください。
 また、「生活援助」はひとり暮らしや認知症の80代、90代の介護を必要とする人たちが増えるなか、在宅生活を維持するのに不可欠なサービスです。
 「生活援助」のみ給付から削減するよう求めることは、介護施設の利用を促し、給付費が増えることになります。あるいは、経済的な負担ができる人には介護付き有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅への転居を促すことになります。
 しかし、低所得のため、自己負担の多い介護付き有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅に転居できない人は、自宅で放置され、ごみ屋敷や孤立死の危険を増やすことになります。低所得の認定者への給付の保障について、財務省の見解を教えてください。

回答2
 ホームヘルパーの現場を視察したことがあるかというご質問ですが、私の卑近な例ですが、私の妻の母がホームヘルパーを利用し、その現場、お掃除とかしていただくところは見させていただいています。
 低所得の方は、介護サービスを使ったときに、あまりにも利用料が多くて負担できないときには、高額介護サービス費で、所得段階に応じて負担軽減しています。
 また、消費税を活用し、低所得者には介護保険料の負担軽減も、行っているところです。

質問2-追加質問 高額介護サービス費の見直しについて
 高額介護サービス費は、所得基準を引き上げる予定のはずですが、どう考えているのでしょうか。

回答2-追加回答
 確かに、高額介護サービス費の所得基準の引き上げを考えていますが、誰もかれも引き上げるのではございません。
 医療保険と同じような位置づけで、所得の特に高い方について引き上げを考えているところです。

質問3 介護労働者の賃金について
 財務省は11月2日の財政制度等審議会財政制度分科会で「介護報酬は引き上げる環境にはない」と提案したとの報道がありますが、介護報酬を引き上げることなく、全産業平均より月額9万円低い介護労働者の賃金を、どのような方策で引き上げるつもりなのか、教えてください。

回答3
 冒頭でも申しあげたとおり、少子高齢化が続くなか、介護人材の確保は重要な課題だと認識しています。
 介護職員の処遇改善は、昨年10月から経験技能のある職員についてさらなる処遇改善を行っているところです。ただし、特定処遇改善加算はあまり使われていない実態もあると聞いております。そのため、特定処遇改善加算の取得を促進する必要性や、有効求人倍率が低下している現状についても認識しております。
 そのため、介護人材の確保のために、「職業転換」、コロナのために職を失った方に介護に来ていただくとか、そういう方策を取りながら、進めていきたいと考えております。

質問3-追加質問 「職業転換」について
 コロナ下で失業した方は、まったく介護の現場に来ていません。
 「職業転換」はそんなに簡単なものではないのではないでしょうか。

回答3-追加回答
 具体的に何ができるかまでは申しあげることができませんが、予算要求のなかで、厚生労働省さんとは何ができるか考えていきたいと思っております。

質問4 福祉用具レンタルのみのケアプランについて
 11月2日の財政制度等審議会財政制度分科会の資料では、福祉用具レンタルのみのケアプランを問題視していますが、福祉用具レンタルのみを利用している人たちの実態を知っているのか、あるいは実態調査したことがあるのか、教えてください。
 また、福祉用具レンタルのみを利用することで生活を維持していることは、評価の対象としないのか、教えてください。

回答4
 今年度の予算執行調査で、福祉用具レンタルだけのケアプランが約6%あり、このうち1年間同じケアプランである方が、要介護度別にみますと、比較的軽度の要支援者が75%を占めるという結果になっています。
 また、福祉用具レンタルだけのケアプランは、比較的廉価な歩行用杖とか歩行器、手すりなどが約7割という結果です。
 提案させていただいたのは、歩行補助杖など廉価な福祉用具については、福祉用具レンタルから購入に変えることで、ケアマネジメントの費用を浮かせることができるということでございます。
 レンタルから販売に変えることで、販売のところを保険給付にするということで、引き続き、高齢者の方は販売になりましても、9割給付になりまして、1割をご負担していただくことになります。
 また、購入した後も、状態を把握する仕組みですとか、なにかしらできるのではないかと提示させていただいているところです。

質問4-追加質問 福祉用具購入とケアプランの関係
 福祉用具レンタルの考え方を変えるということなのですか。
 また、ケアマネジャーの関与は継続することになるのでしょうか。

回答4-追加回答
 現在、レンタルになっている品目のうち廉価なものは、販売に移行してはどうかと提示しています。
 レンタルの場合は毎回、ケアプランが必要になりますが、購入だけで保険給付を受けることになれば、ケアプランを作成する必要はないわけです。
 では、なにもかもみなくていいのかということですが、財政制度等審議会の資料にも書きましたが、例えば要介護認定を申請する際とか、利用者が地域包括支援センターなどに相談するた場合に、状態を把握する評価なども考えられるのではないかと提示させていただいているところです。

質問5 「利用者負担の更なる見直し」について
 介護保険サービスを利用した場合、定率負担があり、1割負担を基本に、「一定以上の所得」が2割負担、「一定以上の所得」のうち「現役並み所得」は3割負担と、改正のたびに負担割合が引き上げられています。
 電話相談では、利用料が2倍、3倍になった利用者、介護家族からサービスの利用が継続できないという声が寄せられています。
 財務省の「利用者負担の更なる見直し」について、具体的に教えてください。
 また、65歳以上の高齢者の負担能力について調査したことがあるのか、教えてください。
 調査があるのなら、調査事業の名称を教えてください。

回答5
 利用者負担の見直しについては、まだ、具体的に提示したわけではありません。
 ただ、高齢化に伴い、介護費用が大幅に増加することが見込まれるなかで、若い方々の保険料負担、65歳以上の方々の保険料も急激に伸びてございますので、そちらの抑制、また保険者間で、利用されている方と利用されていない方の保険料負担の均衡、こういったことを考えています。
 こういった場合に制度の持続可能性ですとか、給付と負担のバランスを確保し、将来的な保険料の伸びを抑制するといった観点から、利用者負担を2割にする対象範囲を広げることなどを提示させていただいています。
 65歳以上の高齢者の負担能力の調査については、財務省として負担能力を調査したことはございません。

質問5-追加質問 負担能力の調査について
 調査をしたことがないということですが、財源を削減することを優先させ、削減ありきでは、ケアマネジャーもモチベーションが下がります。もう少していねいに議論してもらいたいと思います。

回答5-追加回答
 福祉用具については、予算執行調査をしています。
 利用者負担については、保険料が増えてきていますし、制度の持続可能性の確保という観点から検討していきたいと思っております。

質問6 「多床室の室料負担の見直し」について
 現在、ショートステイ、施設サービスともに、食費と居住費は利用者の自己負担になっています。
 特に施設サービスになりますが、同じ相部屋でありながら、室料分の自己負担が増えることについて、利用者にどのような説明をするのか、教えてください。

回答6
 施設の室料負担ですが、在宅と施設の公平性の観点から、多床室の自己負担をしていただくということです。
 在宅に関しましては、室料は当然ながら自己負担していただいている、特別養護老人ホームについても室料負担があるので、同様に、現在は給付に室料が含まれている老人保健施設、介護医療院などにも負担していだくべきではないかという見直しでございます。

質問7 「軽度者へのサービスの地域支援事業への移行」について
 「軽度者」とは誰を指すのか、教えてください。
 「軽度者へのサービス」とは、ホームヘルプ・サービスの「生活援助」のことなのかも含めて、「サービス」とはなにか、教えてください。
 「地域支援事業への移行」の具体的内容を教えてください。
 介護保険は認定を受けないと、個別給付を受けることはできません。地域支援事業は市区町村に事業費が支払われ、認定者や基本チェックリスト対象者に個別給付はありません。
 財務省は、被保険者の受給権について、どのように考えているのか、教えてください。

回答7
 財政制度等審議会でご審議いただいた「軽度者」は、要介護1・2です。
 すでに要支援1・2の方のホームヘルプ・サービス、デイサービスは地域支援事業に移行していますが、要介護1・2のホームヘルプ・サービス、デイサービスについても、生活援助型サービスをはじめとして、全国一律の基準ではなく、地域の実情にあわせた多様な人材、多様な事業を活用したサービス提供を可能とする地域支援事業に移行してはどうかと提案させていただいているところです。
 地域支援事業のサービスは地域の実情に応じて、提供主体ですとか柔軟に設定できることになっています。このため、要介護1・2のホームヘルプ・サービス、デイサービスも、要支援1・2と同様に、地域支援事業に移行できるのではないかということです。
 被保険者の受給権は、当然のことながら、介護保険法上、要支援認定、要介護認定を受けた方に、予防給付、保険給付を受ける権利があります。
 地域支援事業に移行することについては、指定事業者を活用する場合も法律上、規定しており、利用者の同意にもとづくケアマネジメントも位置づけられており、事後的に市区町村から給付が支払われるなど、実質的に権利性が損なわれることにはならないと考えております。

質問7-追加質問 地域支援事業総合事業サービスの確保について
 現実的に地域支援事業の総合事業サービスの委託事業者は単価が低いため、とても少ないです。担い手がいなければ、地域支援事業は受けられない、介護保険料を払っていても、事業が利用できないことになります。

回答7-追加回答
 社会保障審議会介護保険部会でも、まだ要支援1・2の人への多様なサービスが整備されていないということで、要介護1・2の移行は早いのではないかというご意見をいただいていることは認識しております。(了)