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2021.01.08 高齢社会をよくする女性の会・大阪 基準等改正案についての意見
指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準等の一部を改正する省令(仮称)案への意見

2021年1月8日
高齢社会をよくする女性の会・大阪
代表 植本眞砂子

 この改正案は、全体として、人材不足・財政状況を優先し、介護サービスの内容(質)の低下が避けられない改正内容となっている。ケアマネや介護士など現場で働く人の仕事がかえって増える懸念がある。利用者からみれば、介護職の専門性や職責が曖昧になり介護が受けにくい状況が生まれる。介護保険サービスの本来の在り方(理念)を度外視した、介護職に対する圧力・人材の不合理な活用・サービス利用の削減等が垣間見える。
 以下、項目ごとの意見を述べる。

1.1頁の1.訪問系サービス(1)夜間対応型訪問介護について
・現行でも夜間の兼務は認めているが、そのこと自体の課題等はないのか。精査が必要。
・常時兼務を可能とすることは、両者の業務(職域)の分別が難しくなる。つまり、コールが入った時に介護に携わっていたらコール対応は難しい、あるいはできない。また、コール対応事には介護には入れない。当事者が、その間で悩むことになる。職域および職責は明確に分別すべき。

2.2頁の1.訪問系サービス(4)訪問系サービス共通について
(2.通所系サービス、5.(介護予防)福祉用具貸与(販売)にも共通する。)
・現状規定している、その原因の所在を求める必要がある。事業者の努力を求める前に行政として原因解明および対応策を示すべき。サ高住におけるいわゆる「囲い込み」の排除として必要だが、サ高住の根本問題に切り込む必要がある。

3.3頁の2.通所系サービス(2)(介護予防)認知症対応型通所介護の管理者の配置基準緩和
・対象者が要支援者であることを勘案しても、管理者が他の職務に従事することは、効率的ではるが、職場の指揮系統が曖昧になる可能性がある。この場合も職責の明確さが阻害されるのではないか。人材不足を補う手段として妥当かの検討が必要。

4.3頁の2.通所系サービス(4)通所系サービス共通①地域と連携した災害への対応の強化
(3.短期入所系サービスにも共通する)
・事業所の努力のみに依拠するべきでない。行政を中心に対応すべき。当該地区の地域防災計画への協力体制明記などの位置づけが必要。とりわけコロナ禍を経ての支援体制づくりが肝要。

5.5頁の3.短期入所系サービス(2)短期入所系サービス共通③個室ユニット型施設の設備・勤務体制の見直し
・「原則おおむね10人以下」と言いながら「15人を超えない」との基準は、無いに等しいのではないか。「原則」を重視し「10人以下」と限定すべき。(提案は、自己矛盾となっている)基準では、利用者3名に職員1名必要であることから原則9名が望ましい。

6.5頁の4多機能系サービス(1)(介護予防)小規模多機能型居宅介護
・管理者(介護施設の責任者)が他の職務に従事することは、効率的かもしれないが、職場の全体把握や指揮系統が曖昧になる可能性がある。この場合も職責の明確さが阻害されるのではないか(人材不足を補う手段として妥当ではない)
・「管理上支障がない場合」とはどういう場合か明記する必要がある。

7.6頁の6.居宅介護支援 ①質の高いケアマネジメントの推進
・ケアマネジメントの公正中立の確保を図る観点から...としているが、利用者への圧力になりはしないか。
・必要なものをアセスメントした結果つくられた計画書に対して、その過程が無視される懸念がある。

8.7頁の②生活援助の訪問回数の多い利用者等への対応
・「生活援助」の回数制限や一定回数を超える場合は行政に報告する、ことの強化策と考えられる。利用サービスの抑制・低減を意図したものと言えるのではないか。身体介護と生活援助の報酬格差がプラン作成に影響している場合もあり、身体介護と生活援助の報酬単価の一本化が必要。
・福祉用具貸与だけや訪問介護だけしか利用しない人に対して色々使えという圧力になると思われる。
・ケアマネと利用者への無言の圧力となり、必要な生活援助サービスの要請を自己規制するなど減少させるのではないか。

9.7頁の7.居宅系サービス(2)(介護予防)認知症対応型共同生活介護①地域の特性に応じた認知症グループホームの確保
・「1以上3以下」とする理由が不明
・サテライトとは言え複数のユニットでの利用者数と職員、運営に携わる責任者と、介護の根幹に関わる介護計画作成に専門職を配置しない、本体事業所との兼務で良しとするのは、認知症ケアへの無理解としか言えない。様々な有事発生に対応するには現場を熟知する人材の配置は欠かせない。

10.8頁の7.居宅系サービス(2)(介護予防)認知症対応型共同生活介護②認知症グループホームの夜勤職員体制の見直し
・ユニット数を「1以上3」と変更することに伴う措置であるが、ユニット数を増やしても夜勤の職員体制は変えないとのことである。これは、明らかに介護職員への過重労働を強いることになる。1ユニット一人夜勤の原則は守ること。
・利用者の安全確保(夜間の不穏行動・排泄介助など)の点でも問題あり。重度化と看取り対応、特に災害時対応に不安を抱えている。

11.8頁の7.居宅系サービス(2)(介護予防)認知症対応型共同生活介護③外部評価に係る運営推進会議の活用
・現状では多くの事業所における運営推進会議は、第三者とする出席者も少数で固定化しており総体的に形骸化している。
公正・中立な評価は期待できないであろう。業務効率化を言うならば評価の受審回(期間)の変更を考えるべき。

12.9頁の8.施設系サービス(1)地後域密着型介護老人福祉施設入所者生活介助〇地域密着型老人福祉施設の人員配置基準の見直し
・他の社会福祉施設等の連携を図れるならば栄養士を置かないことを可能とする際の連携の内容・方法等の明示がない。栄養士や生活相談員の職務内容の見直しと代替職の提示が必要ではないか。

以上

受付番号495200335000000204

[関連資料]
○パブリックコメント
案件番号495200335
募集期間:2020年12月10日~2021年1月8日
○厚生労働省老健局
社会保障審議会介護給付費分科会(田中滋・分科会長)