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BF143 『コンビニ外国人』
BF143 『コンビニ外国人』

介護分野でも技能実習生が働くことになり、外国人労働者のことが気になっていた。
本書は2018年の出版なので、新型コロナウイルス感染症の流行が拡大するなか、外国人労働者が激減する前のルポルタージュになる。
だが、コロナ以前、コンビニエンスストアのスタッフの胸に、アジアのどこの国の人だろうと思うカタカナ表記のネームプレートを見たことは何回もある。

2017年段階で、日本に住む「在留外国人」は約247万人になり、私たちにはなじみがある中国、韓国(特別永住権を持つ在日コリアンを含む)の人たちほかに、ベトナム、ネパールの人たちが急増しているという。
そして、日本で働く外国人は約128万人になり、技能実習生が多い「製造業」を筆頭に、コンビニやスーパーなどの「卸売暁・小売業」、「宿泊業・飲食サービス業」と続く。

政府も「移民」は認めないが、外国人を受け入れることには積極的なのだそうだ。
介護分野でもおなじみのEPA(経済連携協定)、外国人技能実習制度、高度外国人材ポイント制、国家戦略特区による外国人の受け入れ、留学生30万人計画...知らない政策も結構ある。

「コンビニ外国人」にはまず、日本語学校や大学に通う留学生がいる。
留学生はアルバイトをしてもかまわないが、週28時間までという制限があるそうだ。
日本人の学生が敬遠するコンビニは、接客などで日本語の勉強ができると考える若者も多いという。
だが、問題なのは、留学生が多額の借金を背負って来日していることや、学費を稼がないと勉強を続けられないことだ。
そして、がんばって卒業しても、日本での就職には困難がつきまとうという。
技能実習生は「日本が国際貢献」するために作られた制度だが、実態は各産業の労働力不足をカバーする「単なる人材供給制度」になっている。
また、日本語学校も全国に600校以上あるが、私立大学より多いという。
学費は決して安くないし、働く日本語講師も待遇が悪いという指摘に驚ろく。

日本は人口減少、少子化が続くので、国外に労働力を求めるしかない。
「多文化共生」の取組みをしている自治体の紹介もあるが、期待を胸に来日する人たちに、最初から安く働いてもらおうと意図する者が多いのでは、長続きしそうもない。
コロナ以降、コンビニではカタカナ表記のネームプレートはみかけなくなった。
職を失った彼ら、彼女らは無事だろうか?

(芹澤健介著/新潮新書/760円+税)