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BF145 『くそじじいとくそばばあの日本史』
BF145 『くそじじいとくそばばあの日本史』

著者は古典エッセイスト。
高齢者は社会的弱者だが、「くそじじいとくそばばあ」にはパワーがある。
長谷川マチ子の『いじわるばあさん』を例にすれば、老人を邪魔者扱いする社会、家族、心優しい人にも容赦なく嫌がらせをするダークヒーローの魅力があるという。

「1800年くらいの超大昔にも100歳なんてご長寿がいたのです」。
天照大神の孫で、神武天皇の祖父にあたる彦火火出見尊(ひこほほでみのみこと)は580歳まで生きたというのは神話の世界だが、万葉歌人から平安時代までタフな高齢者エピソードが綴られる。
「権勢欲」でみれば、藤原道長の息子ふたりは80歳近くなってから権力の取りあいをし、天台宗の天海和尚は81歳で政治の世界にデビューし、108歳までほぼ現役だった。
「性欲」では、77歳で20代の女性との「愛欲に溺れ」た一休和尚が代表格。
いわゆる「老人医療」を開拓したのは16世紀、曲直瀬道三(まなせどうさん)という医師だったことや、教科書で習う杉田玄白が『蘭学事始』を書いたのは83歳の時だったことも教えられる。
介護する者にセクハラ行為をする「くそじじい」や、頭脳明晰でけちん坊の「くそばばあ」のほか、「昔話のおじいさんとおばあさん」には「いい人」が少ない、「鬼婆」はいるが「鬼爺」がいないことへの考察なども面白い。

古典をチェックしながら、軽妙に紹介してくれるエンターテイメントだが、古代の民法に該当する「令」では、100歳の者には家族や近親者、養子がいない場合は、5人の介護者を与えるという給付規定があったという紹介など、楽しみながら考えさせられる。

(大塚ひかり著/ポプラ新書/860円+税)