介護保険制度を中心とする行政情報、各地の市民活動団体の活動などを紹介しながら、みなさんとともに「市民福祉」を考えていくサイトです。

2021.08.20 パブリックコメントについてのみなさんの意見
2021.08.20 パブリックコメントについてのみなさんの意見

2021年7月20日~8月18日に募集されたパブリックコメントに提出されたみなさんのご意見を紹介します。
今回の改正は居宅介護支援事業所の基準改正ですが、事業所単位で契約利用者の区分支給限度基準額を合計し、ケアプランの合計単位数が合計区分支給限度基準額の7割を超え、そのうち6割が訪問介護の場合は、市区町村の地域ケア会議などで「ケアプラン点検」を行うというものです。
適用予定日は10月1日です。

※ハスカップ注:
パブリックコメントは「行政手続法に基づく意見公募手続」で、総務省が担当しています。
募集画面から入力画面に切り替えるには、募集画面下のチェック欄にチェックを入れる必要がありますが、複数のみなさんから「なかなかチェックが入らない」という声が寄せられました。
チェックが入らず、時間切れになり、提出できなかった人もいます。
パブリックコメントは「国の行政機関が政令や省令等を定めようとする際に、事前に、広く一般から意見を募り、その意見を考慮することにより、行政運営の公正さの確保と透明性の向上を図り、国民の権利利益の保護に役立てる」しくみとされています。
9月1日からデジタル庁がスタートする予定ですが、「行政のデジタル化」は国民に使いやすいものにすることが望まれます。

[関連資料]
e-GOVパブリックコメント
首相官邸

高齢社会をよくする女性の会・大阪

今次基準の問題点は、以下の通りであり、2005年以降継続されてきた、ホームヘルプ・サービス抑制の一環とみなされる。

(1) 要介護認定の人が一定回数以上の「生活援助」をケアプランに組む場合は、市区町村に事前に届けることが支援事業所に課された。
その延長線上に事業所運営そのものに行政の介入を許すことになる。
それは、必要に応じたケアプランの作成を否定し事業所の主体性を奪うことである。一定回数以上の届け出を義務付けられた際、生活援助から身体介護への切り替えが促された経緯と矛盾する。
(2)そもそも、区分支給限度基準額の利用割合が7割以上で、利用するサービスの6割以上がホームヘルプ・サービスの場合の数値の根拠が科学的に証明されていない。
(3)訪問介護サービスを削減することは、要介護者の在宅での自律した生活を脅かすことになる。
その基準を根拠不詳の一律の「水準」によってはかることは、要介護者の個々の要求を無視し、排除することを意味するのではないか。

結論: 今次、基準案の撤回を要求する。
その理由は、 
(1)介護保険の主目的である「要介護者」の自立支援に逆行するものである。介護保険 制度最も利用の多いホームヘルプ・サービスに関して、前回の「生活援助」の「通常かけ離れた利用回数」を規定したことに加え、介護給付削減目的を充足する新たな仕組みの導入と認識する。
(2)要介護者にとって「在宅生活」には「生活援助・身体介護」は必須条件である。
ケアマネジャーは、在宅要介護者の心身の状況に関し面談を通じて詳細に認知し、サービス内容のアセスメントを行い要介護者の自立支援に寄与することを責務としている。
かかるケアマネジャーの助言によって作成され、当該事業所が是とした「ケアプラン」を行政が「点検・検証」することに「行政の事業者に対する不当介入」「訪問介護の利用控え促進」と同種の思惑が見える。
(3)今次基準の科学的根拠を提示されたい。

小島美里

・区分支給限度基準額という基準がありながら、その「7割」、さらに「6割」が訪問介護であるという「基準」を設けて事業所を抽出し点検・検証することの基本的な理由をわかるように伝えていただきたい。
・今回、区分支給限度基準額とは異なる基準を示すことで、ケアマネジャーに対し、サービス利用の限度を7割以内に抑えることを暗に求めることになりかねない。要介護者の受給権を侵すことにならないか。
・独居や老々世帯で家族介護者がいない場合、区分支給限度基準額の上限までサービスを利用しても必要な見守りなどを適切に行うことは難しい。特に認知症がある利用者の場合、在宅介護のサービスを組み合わせても、十分なサービス提供にはいたらない。このような場合、朝夕の安否確認を訪問介護であてれば月間60回を超える。独居・老々であれば生活援助も必要になる。区分支給限度基準額の7割、さらにその6割でプランを組んだら、必要最低限の支援が入れられない。
・たとえば特養ホームにおいて、要介護3の入居者に対して1日にどれだけの介護を提供しているのか。
排泄、清潔、食事介助、これらを合計したとき、訪問介護に相当する介護はトータルの時間数、回数はどれほどになるのか。
それは、限度額の6割にあたる訪問介護で提供できるものなのか。
・この検証は、外部サービス利用型の有料老人ホーム、サービス付き高齢者専用賃貸住宅のうち、多数回の訪問介護を提供しているケアプランをターゲットにしているのだろう。
中には悪質と認められるものもあるに違いないが、このような「住宅型」を介護保険サービスとは別に設定し、在宅相当の介護サービスを組み合わせることを認めれば、起こりうることである。
同時に、要介護1,2の認知症入居者、要介護3以上の入居者が特養ホーム代替として入居しているケースも多いと考えられる。
この人々に適切な介護を提供するには、限度額の「7割」、そのうち「6割」が訪問介護というケアプランが不当に多いというケースばかりではなく、この「検証」によってケアの回数を減らされる、
減らされた分を介護保険外で充当するといったことが起きることが予測される。
その場合、負担増を招き、支払い能力を超えることを招きかねない。
自宅を処分して入居していたら帰る場所もなく、引き取ることになる子世代は介護離職を迫られることも起きるだろう。
以上のような理由から、即刻この措置は中止することを強くつよく要望する。

中澤まゆみ

介護家族です。
指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準第十三条第十八号の三に規定する厚生労働大臣が定める基準案では、訪問介護の利用が7割を超えるプランを市町村に届け出を義務付けようとしていますが、介護負担の増大で介護家族の多くは、どうそれを軽減しようかと苦心しています。
デイ、福祉用具を含め、ケアマネジャーと相談しながら、ギリギリの状態でケアプランを作成しているのが現状です。
我が家は遠距離介護のため、被介護者は基本的独居です。
本人の状態を考えると、訪問介護はもう少し入れたいところですが、有償サービスを取り入れたとしても、人材不足のためヘルパーの手配がむずかしいと聞いています。

我が家の被介護者には認知症はありませんが、認知症を抱えた一人ぐらしの利用者には、ヘルパーが夏季は毎日複数回、入る必要がある場合もあります。
認知症がなくても、家族に介護を頼れない高齢の利用者もこれからは、ますます増えてきます。
今回の案は、住宅型有料老人ホームやサ高住などの外付けサービスで、不必要に訪問介護を入れる「囲い込み」事業者がターゲットのように見えますが、ただでさえ、経済的負担が増えている在宅では「やたらに」訪問介護を入れることはありません。
「囲い込み」ビジネスを押さえるためなら、ほかの指導方法があるはずです。
勉強不足のケアマネジャーも増えている中、この案が採用されることで、訪問が必要な利用者のサービスが抑えられてしまう懸念もあります。
在宅介護の負担に悩む介護家族、さらに業務に追われる良心的なケアマネジャーにとって、一害あって一利なしです。
よって、この案件に反対いたします。

小竹雅子

今回の基準改正に反対し、厚生労働大臣に撤回することを求めます。

[理由1. 区分支給限度基準額について]
厚生労働省は、認定者が居宅サービスと地域密着型サービスを利用するにあたり、「ニーズが多様であること等の特性がある」という理由で、区分支給限度基準額という「一定の制約」を設定しましたが、今回の基準改正は「二重の制約」を設ける不適切なものです。
また、区分支給限度基準額は、認定を受け個別給付を受ける権利がある人に設定されたものです。居宅介護支援事業所あるいは介護支援専門員(以下、ケアマネジャー)、保険者である市区町村、ましてや認定者の「居宅」を訪れることもない地域ケア会議の「多職種」の者たちに与えているものではありません。
認定者の受給権をないがしろにする見直しはただちに中止することを求めます。

[理由2. 居宅介護支援事業所の基準改正という手法について]
居宅介護支援事業所の基準改正による区分支給限度基準額の制約は、認定者に個別給付する原則を逸脱し、居宅介護支援事業所を訪問介護の利用制限に誘導するという大変、不愉快な構造です。
2018年度に厚生労働大臣が定めた訪問介護の「生活援助」の利用回数制限により、多くの居宅サービス利用者や介護する家族は、ケアマネジャーや居宅介護支援事業所に対する不信感を増大させています。
ケアマネジャーなどに責任転嫁され、恨まれる構図です。
制度の見直しには、厚生労働省は認定者を含む被保険者に対する誠実な提案と説明をする責任があります。
新型コロナウイルス感染症が拡大し、通所介護や短期入所の利用控えをしているひとり暮らし、あるいはともに認知症の高齢夫婦世帯などの認定者に対して、訪問介護を増やす対応を迫られるケースも多くあります。
感染死のほか、孤立死や熱中症など「在宅介護の危険」を回避する対応が迫られている時期に、このような見直しを行うのは適切ではありません。

[理由3. 指定権者の怠慢について]
認定者の生活や心身の状況を検討することなく、機械的に区分支給限度基準額まで訪問介護をケアプランに組む居宅介護支援事業所が存在するならば、事業所を指定した都道府県や政令指定都市・中核市など指定権者が個別事業所に指導・監督を行ない、是正すべき事項です。
指定権者の責務を問うことなく、すべての居宅介護支援事業所を通じて、「基準限度額の7割のうち6割以上の訪問介護」という線引きをして、すべての要介護認定者に対して「ケアプラン点検」を可能とするのは筋違いです。
指導・監督できない理由があるならば、少なくとも被保険者に説明する責任があります。
厚生労働省は指定権者の居宅介護支援事業所に対する指導・監査の実態を調査し、公表してください。

[理由4. 厚生労働大臣の責任について]
今回の見直しについて、困難事例を多く担当するケアマネジャーたちに、コロナ対応で多忙のなか、小規模なヒアリングを行いました。
独居の認知症で通所系のサービスを拒否しているケース、独居でターミナル期のケース、障害福祉サービスから移行したケース、精神障害で生活困窮者のケース、施設利用相当だが経済的に利用できないケースなど、多様な困難を抱えた事例が寄せられています。
また、サービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホームに入居する要介護認定者も年々、重度化しており、施設利用相当でも利用できないケースが増えています。
新型コロナウイルス感染症だけでなく、今回の基準改正が「在宅介護の崩壊」を後押ししかねません。
また、ケアマネジャーの負担をさらに増やし、人材確保が危うくなる事態も容易に想像されます。
介護保険法には「保険給付の内容及び水準は、被保険者が要介護状態となった場合においても、可能な限り、その居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように配慮されなければならない。」とあります。
厚生労働大臣には「配慮」する義務があり、拙速な基準改正を再考することを求めます。

[理由5. 基準改正の手法について]
財務省は社会保障費の抑制に熱心ですが、介護保険を担当する厚生労働省には、給付費の使途を検討することと、濫用や不正使用の制限は、相容れないものだと認識していただきたいと思います。今回の見直しは社会保障審議会介護給付費分科会に審議にもとづくとされていますが、具体的な数字は公表されませんでした。
被保険者を含む国民には非公開のまま、「報告事項」として公表され、パブリックコメントの募集手続きに至りました。
介護保険制度をはじめ厚生労働省に対する不信感を増やすような見直しの手法は厳に慎むことを求めます。
以上