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BF148 『非正規介護職員 ヨボヨボ日記』
BF148 『非正規介護職員 ヨボヨボ日記』

2016年、安倍政権が「生涯現役社会の実現」を掲げたとき、高齢者は死ぬまで働かなければならないのかと、いささかむっとした。
だが、政策以前に、少ない年金では暮らせないので、働き続けている高齢者がたくさんいることを多くの人に教えられた。

本書は『交通誘導員 ヨレヨレ日記』を皮切りに「生涯現役社会」を地で行く高齢労働者の日記シリーズ第5弾。
帯には「介護職は最後の手段」。書店で手に取った時は、すでに六刷だったから、読む人が多いんだなあと思う。

厚生労働省の社会保障審議会でも、介護現場の「人材不足」に対応するため、「元気高齢者」の養成が何回か挙げられている。「介護助手」というのもある。

ともあれ、多彩な職業を渡り歩いた著者は、ハローワークで「あなたの年齢で勤められるのは介護職くらい」と言われ、56歳にして半年間の「介護職員主任者研修」(旧・ホームヘルパー研修)を受講し、小規模(10部屋)の「住宅型有料老人ホーム」に就職したという。
「流れ流れて、介護職員」になった著者は、地方の文学賞の受賞経験もあり、文章がうまい。
「介護ヘルパーは被介護者の奴隷か」と自虐的な気分にさせられる入居者から、辞めていく職員のパターン、ホーム全体を支配する実力、権力ともに兼ね備えた「お局さま」の存在まで、なるほどねーと思わせる。

仕事を通じて、自分が「人と関わることが好き」であることを発見したという著者だが、「正直なところ、私はここにいる入居者のように年老いてシモの世話までされ、好きな酒を禁止されてまで長生きしたいとは思わない」とも告白。
おまけに、さまざまな前職のなかには広告代理店の営業もあり、「たくさんの老人ホームを見た」という。その経験から、「あくまでも私見」としつつ施設の善し悪しを判断する秘訣も教えてくれる。

ところで、楽しくもつらい介護労働の日々を読み終わり、待てよと思った。
「住宅型有料老人ホーム」は自宅と同じ扱いだから、著者は併設の在宅サービス(訪問介護事業所か通所介護事業所)のスタッフなのだと推測される。
しかし、日中はデイサービスなのかも知れないが、「夜勤」でおむつ交換もしている。デイサービスから続けて、夜間ホームヘルプ・サービスに勤務しているのだろうか。
「サービス付き高齢者向け住宅」とともに「住宅型有料老人ホーム」は、自宅ではない「在宅」なので、勤務形態がよくわからなかったところがちょっと残念。

なお、本書のシリーズには『ケアマネジャーはらはら日記』(岸山真理子著)もあると知った。
帯には「いらだちに直面する仕事」とあった。

(真山剛著/三五館シンシャ/1300円+税)