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BF151 『感染症の世界史』
BF151 『感染症の世界史』

本書は2014年に刊行された『感染症の世界史』に加筆修正し、2017年12月にまとめられた。
新型コロナウイルスが登場するちょうど2年前だ。
第1部「20万年の地球環境史と感染症」を読むと、「『幸運な先祖』の子孫」である自分が感染症に対して、あまりにも"免疫"がないことを痛感する。
新型コロナウイルス感染症の拡大とともに、14世紀のペストや20世紀初頭のスペイン風邪の流行も繰り返し知らされることになった。
本書では人類が移動するとともに広がった壮大な感染症の歴史を教えてくれるとともに、人間が生きていく限り、感染症から逃れることができないことを教えてくれる。

第3部「日本列島史と感染症の現状」では、日本が「ハシカ後進国」で、風疹の流行を止められず、縄文人由来のT型細胞白血病や弥生人由来の結核への対応も遅れていることを、豊富な情報とともに知らされる。
新型コロナ以前から、「ワクチンで防げる感染症」(VPD)に対して「日本の国際的評価は先進地域のなかで最低レベルにある」という。
つまり、2020年からはじまったワクチン騒動は、連綿と続いてきた日本の感染症対策の「遅れ」の延長線上にあることを納得させられる。

終章では「今後、感染症との激戦が予想される地域」としてアフリカと中国が紹介されている。
だが、もっとも怖いと思ったのは、世界的な都市への人口集中、そして、歴史上例のない高齢化が「感染爆発」のマグマをため込んでいるという指摘だ。
「高齢者は外出が減って孤立しがちになり、他人から免疫を受け取るチャンスも少なくなる。発病しやすくなり、発病すれば重い症状にやすい」。
医学や公衆衛生が発達しても、繰り返しタフなウイルスが登場する。
そのことを念頭に、私たちは「コロナの時代」を考えるべきだと示唆される。

(石弘之著/角川ソフィア文庫/1080円+税)