介護保険制度を中心とする行政情報、各地の市民活動団体の活動などを紹介しながら、みなさんとともに「市民福祉」を考えていくサイトです。

2021.10.11 介護保険制度についての公開質問状
介護保険制度についての公開質問状(2021.10.11)

介護労働ホットライン実行委員会 共同代表 井堀哲、大江京子、藤澤整
介護保険ホットライン企画委員会 共同代表 小竹雅子、小島美里、林洋子

 「介護保険ホットライン企画委員会」は首都圏の市民活動団体で、2006(平成18)年から介護保険制度について、利用者、介護者など広く市民の声を集める電話相談を開設しています。「介護労働ホットライン実行委員会」は、弁護士を中心に、2013(平成25)年から電話相談「介護労働ホットライン」を開設しています。
 10月31日に予定されている衆議院議員選挙に先立ち、介護保険制度について、貴党の見解と方針をお教えください。
 なお、質問と回答については、ホームページでの公表を予定しています。
 ご多忙とは思いますが、10月24日までにご返事をくださいますようお願いいたします。

質問項目
1. 訪問介護の今後について
2. 認定者の利用限度額(区分支給限度基準額)について
3. ホームヘルパーについて
4. 認定を受けてもサービスを利用していない人たちについて
5. 所得の低い認定者について

介護保険制度についての公開質問状
事務局担当 市民福祉情報オフィス・ハスカップ
連絡責任者 小竹雅子

1. 訪問介護の今後について
 在宅介護の要となる訪問介護は、要支援認定者を給付からはずして地域支援事業に移行するほか、ケアマネジメント(居宅介護支援)による「生活援助」の利用回数の制限が行われました。今年10月1日からは居宅介護支援事業所単位で、契約する利用者の利用限度額(区分支給限度基準額)を合計し、その42%以上の訪問介護を組む場合、市区町村の「点検」の対象にして、ケアマネジメントを経由して、要介護認定者への個別給付を制限する見直しが行われようとしています。
 訪問介護の一連の抑制策について、貴党の見解と方針をお教えください。

2. 認定者の利用限度額(区分支給限度基準額)について
 介護保険では、介護保険料を払う被保険者であるだけでは給付の対象にはならず、認定(要支援認定・要介護認定)を受ける必要があります。
 また、認定を受けても、複数の在宅サービス、地域密着型サービスを組み合わせたケアプランを作成する場合、認定ランクごとに利用限度額が設定されています。
 1の質問のように、認定を受けた人の受給権である利用限度額に対して、さらに二重の制約がかけられようとしています。
 認定を受けた者のサービスを利用する権利(受給権)と利用限度額について、貴党の見解と方針をお教えください。

3. ホームヘルパー(訪問介護員)について
 訪問介護を担うホームヘルパー(訪問介護員)は、「登録ヘルパー」と呼ばれる非常勤・時給の労働者が多く、介護労働者のなかでも平均年齢が高いことが指摘されています。
 また、介護労働者のなかでも離職率は高く、現状でも人材不足が際立つなか、「人材確保」の方策も後継者の養成も乏しい状況が続いています。
 ホームヘルパーの確保策について、貴党の見解と方針をお教えください。

4. 認定を受けてもサービスを利用していない人たちについて
 介護保険に加入している被保険者は2018年度の段階で、7,683万人になります。
 しかし、認定を受け、介護保険の給付を受けることが可能な人は658.2万人で、8.7%に過ぎません。65歳以上の第1号被保険者で、認定を受けているのは645.3万人(18.1%)で、約2割にしかなりません。
 おまけに、2014年度以降、認定を受けてもサービスを利用していない「未利用者」が100万人を超えています。
 2019年度の認定者は669.3万人ですが、受給者は515.8万人で、「未利用者」が153.5万人になります。認定を受けても23%とほぼ4分の1の介護を必要とする人たちがサービスを利用していないのです。
 認定の手続きは訪問調査による一次判定、市区町村の認定審査会による二次判定と、時間も手間もかかるものです。面倒な手続きを経てもなお、サービスを利用していない100人を超える人たちについて、対策が必要と思いますが、貴党の見解と方針をお教えください。

5. 所得の低い認定者について
 2000年度にスタートした介護保険のサービスのなかで、この20年間、利用者が10倍以上に急増しているのは認知症グループホーム(認知症対応型共同生活介護)と介護付き有料老人ホーム(特定施設入居者生活介護)です。
 どちらも利用者負担のほか、居住費や食費、日常生活費などが全額自己負担になります。特別養護老人ホームに代表される施設サービスには、低所得者向けの補足給付(特定入所者介護サービス費)があり、居住費や食費の補助がありますが、認知症グループホームと介護付き有料老人ホームは「施設」に該当しないため、対象になりません。
つまり、認知症グループホームや介護付き有料老人ホームを選択できるのは、一定以上の所得がある人々です。
 このため、低所得の認定者は特別養護老人ホームに申し込みをして、在宅で待機せざるをえません。また、特別養護老人ホームは要介護3以上の認定者が原則となり、要介護1と2の人は「特例入所」に該当しない限り、利用することができません。
 そして、在宅サービスも訪問介護や通所介護など多くの人が利用しているサービスは抑制基調にあります。
 介護保険料を払い、介護が必要と認定されているにもかかわらず、すでに利用料の自己負担が苦しいため、少ないサービスでしのぐ、あるいはサービスをあきらめる人も少なくありません。
 生活保護の対象にはならない低所得の認定者について対策が必要と考えますが、貴党の見解と方針をお教えください。

以上