 「福祉的こころ」を考えさせてくれる映画についてご紹介します。
CF001 『夕映えの道』
CF002 『トーク・トゥ・ハー』
CF003 『みなさん、さようなら。』
CF004 『春にして君を想う』
CF005 『ラヴェンダーの咲く庭で』
CF006 『陽のあたる場所から』
CF007 『メゾン・ド・ヒミコ』
CF008 『あの鷹巣町のその後』
CF008 『あの鷹巣町のその後』
羽田澄子監督は『住民が選択した町の福祉』(1997年)、『問題はこれからです 続住民が選択した町の福祉』(1999年)の2作品で、1991年に高齢者福祉の充実を掲げて当選した岩川徹・元鷹巣町長、鷹巣町民の“福祉のまちづくり”を追ってきました。
岩川氏は3期12年の間に「住民参加」を重視したワーキング・チームの積み重ねをもとに、社会福祉協議会による24時間在宅ケア、福祉公社が運営する「ケアタウンたかのす」(個室ユニットの老人保健施設、ショートステイ、デイセンターの複合施設)をつくりあげ、その取り組みは全国から注目されました。
しかし、2003年の統一地方選挙で、町村合併をかかげた対立候補に大差で敗れました。
今回の作品ではこれまでの記録を集大成するとともに、新町長のもとでのグループホームの廃止、「ケアタウンたかのす」への補助金減額、社会福祉協議会への補助金の打ち切り、鷹巣町高齢者安心条例の廃止、2005年3月の町村合併による北秋田市の誕生、「ケアタウンたかのす」の存亡の危機までをまとめています。
(2005年・カラー・180分・自由工房)
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CF007 『メゾン・ド・ヒミコ』
塗装会社の事務員・沙織(柴崎コウ)は死んだ母親の入院費用の借金を抱え、夜はコンビニのバイトをかけもちしながら、風俗で働くことを考えています。
ある日、彼女と母親を捨てて出て行った父親(田中泯)の恋人・春彦(オダギリジョー)が、父親が末期がんであることを告げに来ました。
父親はかつて銀座のゲイバー「卑弥呼」の名物オーナーで、私財を投じて建てたゲイたちの老人ホーム「メゾン・ド・ヒミコ」で最期を迎えようとしているのです。
父親の存在を否定してきた沙織は報酬につられて、しぶしぶ老人ホームの手伝いに行きますが……。
どんな考え方の持ち主であっても、どのような人生を歩んできた人でも老いを迎え、死にむきあいます。父と娘の和解、ゲイの青年とバイの女性の恋愛感情、ニューハーフやゲイの高齢者たちの人生模様とさまざまな課題を盛り込んだユーモラスな作品。
(犬童一心監督/2005年/日本/131分/アスミック・エース)
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CF006 『陽のあたる場所から』

フランスの駆け出し精神科医・コーラは研修先の病院で、うつろな表情で、ときとしてパニックを起こすロアに出会います。
少しずつ歩み寄り、治療が効果をあげはじめたと思った矢先、ロアは身元が判明し強制送還されてしまいます。
「彼女を救えるのは私だけ」とコーラはアイスランドの島に向かいますが、ロアには漁師の夫と義母、そして赤ちゃんがいました。地元の医師に「私は病気を看るのではなく、生活を看るのだ」と諭されても、コーラはなかなか納得しません。
しかし、コーラの存在を認め、彼女の不安を癒す力を持っていたのは、治療の対象とされたロアのほうでした。
アイスランドの荒涼とした風景の美しさとともに、専門家と対象者の関係を考えさせられる。
(ソルヴェイグ・アンスパック監督/2003年/フランス=アイスランド=ベルギー/90分)
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CF005 『ラヴェンダーの咲く庭で』(Ladies in Lavender)
1930年代、イギリス・コーンウォール地方の海辺の古い屋敷で、人生の晩年をつつましく暮らすジャネット(マギー・スミス)とアーシュラ(ジュディ・デンチ)の姉妹。生真面目なジャネットは従軍看護師として働いた経験もあり、夫は戦死。ちょっとお茶目なアーシュラはずっとシングル。
嵐の翌日、近くの浜辺に青年が打ちあげられます。姉妹は足を骨折した青年を競いあって看病します。
彼はポーランド人で、渡米途中に船が難破し、流れ着いたらしい。アーシュラはヴァイオリンの才能を持つ青年に、今までに抱いたことのない感情が湧きあがるのを押えることができません……。
イギリスを代表するふたりの名女優が競演。
(チャールズ・ダンス監督/2004年/イギリス/105分/日本ヘラルド映画、テレビ東京、博報堂DYメディアパートナーズ)
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CF004 『春にして君を想う』(Children of Nature)
アイスランドの寒村で羊を飼っていたゲイリは歳を重ね、愛着ある家を処分し、都会に暮らす娘一家のマンションに身を寄せます。
しかし、思春期の孫娘との折り合いが悪く、すすめられて高齢者施設に入居。そこで出会ったのは、今は廃墟となった海辺のふるさとの幼なじみ・ステラ。脱走の常習犯の彼女に「故郷の両親の墓で眠りたい」と懇願され、ゲイリはスニーカーを買い、貯金を全額下ろし、車を盗みます。
「老人がふたり、跡かたもなく消えた」と平和な国をあげての大騒ぎを尻目に、ふたりがたどり着いた思い出の故郷は……。
高齢者の孤独と追想、幻想的な風景を織り込んだシニア・ロードムービー。
(フリドリック・トール・フリドリクソン監督/1994年/アイスランド=ドイツ=ノルウェー/85分/DVDアスク講談社)
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CF003 『みなさん、さようなら。』(Les invasions barbares)

大学教授だったレミは末期ガンで余命いくばくもありませんが、「イラクにけんか腰のアメリカで入院するのはイヤだ」とモントリオール市内の廊下までベッドがあふれかえる公立病院に入院中。
元妻・ルイーズはロンドンに住む息子のセバスチャンに助けを求めます。セバスチャンは浮気性の社会主義者の父親に反発し、証券ディーラーとして成功した青年ですが、母親のためにカナダにやってきます。
「友人を呼んで楽しい病室にして」と母親に頼まれた息子は100ドル札をばらまき、、レミの親友や恋愛のお相手を集めます。気心の知れた友、愛する女たち、介護環境整備に奔走する息子に囲まれ、レミは痛み止めにヘロインを使うために雇われたジャンキー娘・ナタリーに「満足できる仕事をすれば良かった」と死を受け入れられないことを告白。
全員でレミの安楽死を見送るために出かけた湖畔の別荘で、実存主義から社会主義、フェミニズムから構造主義までイズムにはまった20世紀の青春時代をなつかしむカナダのインテリ・ベビーブーマーたちは、「資本主義の申し子」と呼ぶセバスチャンのかせいだ金でレミとの最期のときを陽気に思いやり深く過ごします。
(ドゥニ・アルカン監督・脚本/2003年/カナダ・フランス合作/カラー)
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CF002 『トーク・トゥ・ハー』(talk to her)

母親を15年間在宅介護して看取ったベニグノは、バレエ・スタジオでレッスンをするアリシアにひとめ惚れしますが、アリシアは交通事故で「植物状態」になってしまいます。
ベニグノは彼女の専属介護士に志願し、人生すべてをアリシアへの献身的な介護にささげます。
わが身の孤独にいつも涙ぐむフリーライターのマルコは、女闘牛士・リディアに恋をしますが、リディアは闘牛場でたけり狂う牛に突かれて、意識が戻りません。
マルコはリディアをみつめて泣きながら、しかし、彼女に声をかけることも触れることもできないまま、海外へ逃げ出します。
リディアは数ヶ月で死に、アリシアは4年ぶりに意識をとりもどします。しかし、ベニグノは精神障害者施設に送られてしまい、アリシアに会えないことに絶望してしまいます。
ベニグノの介護は愛なのだけど、一方的な恋。相手が無意識の世界にいる限り献身できるけれど、意識を取り戻したときには……。
(ペドロ・アルモドバル監督・脚本/2002年/スペイン映画/カラー)
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CF001 『夕映えの道』

パリの狭いアパートに猫一匹と八百屋のツケで暮らす高齢女性・マド。ある日、マドをみかけたイザベルは、なぜか気にかかる。いくたびか訪ね、食事を運び、彼女の人生に耳を傾け、しかし、マドの頑なさと変わりやすい気分にふりまわされ、マドとの関わりを何度もやめようとします。
しかし、病院で精密検査を受けたマドの身体は、末期ガンで余命いくばくもないことを知ったイザベルは、仕事も恋も中断し、マドの残りの日々に寄り添うことを決めます。
イギリスの作家ドリス・レッシングの同名小説(集英社・2000円)に、母親の死をなかなか受け容れられなかったというルネ・フェレ監督が共感して映画化した作品。小説は高齢女性が病院に入院し死亡するまでの主人公の葛藤を描き、映画より数段シビアで現実的な内容。
原題(英語)は『善き隣人の日記』で、聖書の教えであるとともに、イギリスの高齢者支援のボランティア組織名とのこと。アメリカには「シニア・コンパニオン・プログラム」、日本の「傾聴ボランティア」(シニア・ピア・カウンセリング)など似たような活動があります。
(ルネ・フェレ監督・脚本/2001年/フランス映画/カラー)
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