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介護保険法改定にあたっての要望書

2005.04.19


 

私たちは介護保険サービスの利用者、利用者の家族、支援者、
そして「介護のある暮らし」を考えてきた市民です。
今回の介護保険法改定案について国会での審議が続いていますが、
「高齢者の尊厳の保持」という改定の理念には賛同するものの、
具体的な内容には大きな不安を抱いています。
国会での審議においては、特につぎの項目について
充分に検討と議論をされますよう要望いたします。

1.「新予防給付」は選択メニューにしてください

「新予防給付」の創設では、要支援の人たちすべて、
要介護度1の一部の人たちを「介護予防」サービスにふりかえ、
保健師などがケアマネジメントに従事し、
新設予定の「地域包括支援センター」で適切なサービスかどうかを
チェックするとされています。
高齢期の障害や慢性的な病気が進行するのを防ぐために
「介護予防」を望む人たちもいますが、
介護サービスを利用して自立した生活をかろうじて維持している人たちもいます。
厚生労働省も「介護予防」サービスを提供しても、
現状維持あるいは状態を軽くすることができるのは1〜2割としています。
「介護予防」サービスを利用してもなお、8割以上の人たちの
要介護状態は重くなっていくのです。
「介護予防」の効果が実証されず、有効なサービスも確定していない現段階で、
価値観や生活スタイルも多様な150万人を超える利用者に、
限定された新サービスを提供し、
そして効果があがらず要介護度が重くなっていくときの
心理的なケアや対策も検討しないまま、
「新予防給付」が新設されることに反対します。
「介護予防」サービスが必要ならば、新たな選択メニューとして追加すべきです。
利用者が従来の介護サービスをも「自己選択」することを妨げないでください。

2.「地域支援事業」に介護保険料を使わないでください

市町村が行なう相談事業や認知症の人たちの権利擁護、
65歳以上の健康診断など老人保健の事業は大切なことです。
しかし、新設予定の「地域支援事業」は、
要介護認定で非該当と判定された人たちや
介護サービスが必要になる可能性が高いとされる人たちを対象に、
介護保険料を財源にするとしています。
介護保険法は、介護が必要になったときに、
保険で介護サービスを利用できるように、
みんなで介護を支えあう制度としてスタートしました。
それを市町村の老人保険事業に使うことは、
財源が足りないといわれる介護保険財政を悪化させるのではないかと危惧を抱きます。
また、現在の介護保険制度では
要介護度の重い人たちの在宅生活が支えきれないといわれているのに、
改定案では重度者へのサービスの「改正」は不在のまま、
“介護が必要にならないように”という視点ばかりが強調されています。
「地域支援事業」は従来どおり老人保健の事業として行い、
介護保険外の財源を使うよう求めます。

3.被保険者が納得できる所得段階区分の再検討をしてください

今年10月からは介護保険3施設を利用する人たちから
家賃を徴収し、食費を上げるとされています。
同時に、ショートステイからも滞在費を徴収し、食費を上げる、
デイサービスの食費も上げるとされています。
他の改定案が2006年4月から実施されるのに、
自己負担だけが半年繰り上げて実施されるのはなぜなのでしょうか?
また、低所得者対策が打ち出されていますが、
年金収入による区分にはさまざまな疑問の声が出ています。
上記2点について、実証的なデータにもとづき、
被保険者が納得できる低所得者対策に再整理することを求めます。

4.介護保険サービス従事者の研修強化とともに労働環境の改善を検討してください

今回の改定案では、ケアマネジャー、介護サービス従事者への
資格更新や研修の強化がうちだされています。
未熟な面の多い介護サービスに携わる人たちが
技術を身につけていくのは大切なことです。
しかし、現在でも厳しい労働条件と低賃金が語られるなか、
労働環境の改善が検討されないまま負担だけが増えると、
厳しさについていけず、職業から排除される人たちが
さらに増えていくことが予想されます。
また、労働現場でのストレスが大きくなると、
しわ寄せがもっとも弱い立場にある利用者のところにいく可能性も高くなります。
介護保険サービス従事者の研修・資格化と同時に、
日常的に行なわれている無償残業を減らし、
勤務時間内研修や人員配置の見直しなど労働条件の改善を
あわせて検討することを求めます。

5.国会で期限を定めて制度の検証、見直しを行なってください

高齢化がすすむなかで、介護が必要となる人たちも増えていきます。
従来のサービス、そして新設予定の「介護予防」サービスにしても、
成果が検証されるのは実施以後となり、
常に実態調査とさまざまな角度からの検討が求められます。
介護保険法創設時に5年目の見直しが約束され現在、国会で審議されていますが、
今回の改定内容についても2年あるいは3年と期限を定め、
ていねいな検証を行い、被保険者に納得のいく改善を行なうことを
法律に盛り込むよう求めます。

「介護保険法改定にあたっての要望書」賛同人一同

井口  惠(特定非営利活動法人野の花ネットワーク)
池田 敦子(特定非営利活動法人市民シンクタンクひと・まち社)
石倉 裕美(学生)
伊東 晴美(高齢者の人権を守る市民の会)
岩井 一衡
岩田 桂子(特定非営利活動法人野の花ネットワーク)
上田 富代(特定非営利活動法人みずきの会)
上山 博美
太田差恵子(離れて暮らす親のケアを考える会パオッコ)
岡本 祐三(国際高齢者医療研究所)
小竹 雅子(市民福祉情報オフィス・ハスカップ)
神武 恭子
菊池 憲一
北川 大成(特定非営利活動法人「サークル福寿草」)
桑島 久代
小泉 晴子
河野 益美
小島 美里(特定非営利活動法人暮らしネット・えん)
小高真由美(介護保険を考える会)
坂巻フミエ(労働者住民医療機関連絡会議)
佐竹紀美子(マイケアプラン研究会)
佐藤由美子
佐藤ちよみ(対人援助スキルアップ研究所)
佐藤 浩美(全国マイケアプラン・ネットワーク)
澤海久美子(特定非営利活動法人野の花ネットワーク)
澁谷 路世(特定非営利活動法人野の花ネットワーク)
島村八重子(全国マイケアプラン・ネットワーク)
清水季世子(甲府共立在宅介護支援センター)
白川 和子(特定非営利活動法人野の花ネットワーク)
陣内やすこ
菅原 由美(訪問ボランティアナースの会キャンナス)
杉山 哲子
高木 洋子(全国マイケアプラン・ネットワーク)
竹内 弘道(全国マイケアプラン・ネットワーク)
竹川 慎吾(とやま福祉ネットワーク〜まちの福祉しらべ隊〜)
田中 明子(老いを考える会“諒”)
玉井 敏子
寺田 和代(フリーライター)
徳丸 直美(全国マイケアプラン・ネットワーク)
中村  孝(全国マイケアプラン・ネットワーク)
中村 憲昭(福祉民活ネット総研)
西村美智代(特定非営利活動法人生活介護ネットワーク)
野田真智子(特定非営利活動法人福祉を拓く会GOWA)
野辺 明子(領家介護を考える会)
野辺 由郎(領家介護を考える会)
橋本ノリコ(介護保険ちょうふ市民の会)
秦  洋一(社会保障審議会介護保険部会委員)
服部 幸子(中野区議会議員)
服部万里子(要支援・要介護1の声を代弁する看護・介護・ケアマネジャー・保健師の会)
浜田きよ子(高齢生活研究所)
林  洋子(老いを考える会“諒”)
東  一邦
(特定非営利活動法人さいたまNPOセンター)
引田みつ江(全国マイケアプラン・ネットワーク)
細川 邦子(さいたま市市議会議員)
堀越 栄子(特定非営利活動法人さいたまNPOセンター)
牧野 史子
(特定非営利活動法人介護者サポートネットワークセンター・アラジン)
ますのきよし(特定非営利活動法人野の花ネットワーク)
松清 智洋(全国マイケアプラン・ネットワーク)
安岡 厚子(特定非営利活動法人サポートハウス年輪)
山野  裕(会社員)


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