市民福祉情報オフィス・ハスカップは11月14日、「生活援助」と「利用者負担」についての要望書を、衆議院議員475人、参議院議員242人に届けました。
要望書には呼びかけ期間が短かったのですが、190人のみなさんにご賛同をいただきました。
全国のみなさんに感謝いたします。(市民福祉情報オフィス・ハスカップ 小竹雅子)
国会議員のみなさまへ
市民福祉情報オフィス・ハスカップは2003年から、介護保険制度を中心に電話相談や社会保障審議会の傍聴活動などを続ける市民活動団体です。
現在、来年の通常国会に向けて、政府の「骨太方針」や財政制度等審議会の提言などを織り込み、介護保険制度の改正案の検討が続いています。
しかし、介護保険法の2014年改正は、昨年4月から2年間をかけて施行しているただなかにあります。
認定者や介護者に大きな影響を与えているのは、ふたつです。
ひとつは、要支援認定者(要支援1・2)のホームヘルプ・サービスとデイサービスを予防給付からはずし、地域支援事業に移行中であること。
もうひとつは、昨年8月以降、「一定以上の所得」がある認定者の利用者負担が2倍になり、施設サービスの食費・居住費の低所得者への補足給付が厳格化され、利用者負担が増えたことです。
ところが、どのような影響が出ているのか、まだはっきりしていません。
社会保障審議会では前回改正の検証もしないうちに、①「軽度者」(財政制度等審議会は要介護1・2と定義しています)のホームヘルプ・サービスの「生活援助」とデイサービス、福祉用具レンタルの給付を削減する、②さらなる利用者負担の引き上げ、などを検討しれています。
市民として危機感を抱くのは、多くの人はタイムラグのある前回改正の内容をまだ、知らないうえ、今回の見直しにも気づいていないことです。
介護保険制度は約7,450万人の被保険者が介護保険料を毎月支払い、サービスが必要と認定された高齢者の暮らしを支えています。
それにもかかわらず、きちんとしたエビデンスや情報提供、問題提起もなく、一方的ともいえる見直しが進んでいるのです。
多くの人が必要としているサービスを削減することは、国民生活にどのような影響を与えるでしょうか。
また、認定者の9%程度にしかならない「一定以上の所得」だけでなく、さらに負担能力の低い人に利用者負担を拡大すると、認定を受けて「保険事故」を認められているにもかかわらず、サービスが利用できない人が増えていくことにならないでしょうか。
11月1日、市民福祉情報オフィス・ハスカップは介護保険の被保険者、利用者、介護者、事業者のみなさんに、国会議員のみなさんに要望書「安心できる介護保険制度を!」を届けようと呼びかけました。
短期間ですが、全国各地から賛同の声が寄せられています。
財政制度等審議会と社会保障審議会では、介護保険法の改正をしなくても、第7期(2018~2020年度)の介護報酬の改定で、介護報酬の引き下げや事業所指定基準などを見直すことで実質上、利用制限を行うことも提案されています。
このような形で、新たな改正の「意見」がまとめられてしまうのは、被保険者の制度への不信を広げることにしかなりません。
ぜひ、要望書に目を通していただくとともに、国会の場で介護保険制度の信頼性を守る審議してくださいますよう、お願いいたします。
2016年11月14日
市民福祉情報オフィス・ハスカップ主宰 小竹雅子
要望書 安心できる介護保険制度を!
1.介護保険から「生活援助」をなくさないでください!
来年の通常国会に向けて、介護保険法の見直しが検討されています。
政府は「骨太方針2015」で、「軽度者に対する生活援助については、地域支援事業に移行すべき」とし、「移行の前提として、保険給付の割合を大幅に引き下げる」ことを求めています。
介護保険の認定者は80歳以上が7割を占め、ひとり暮らしと高齢夫婦世帯が半数以上で、8割が自宅を中心とする居宅サービスに支えられています。
居宅サービスのなかでも、訪問介護(ホームヘルプ・サービス)の「生活援助」は、暮らしの質を維持するために必要な基本サービスです。
政府は「軽度者」を「要介護2以下」として、要介護1・2の認定者を指していますが、認定を受ける原因となるのは脳卒中と認知症です。
介護を必要とする人の在宅生活から「生活援助」がはずされた場合、経済的に余力のない人は民間などの有料サービスも使えず、これまで以上にゴミ屋敷化する可能性が増え、孤立死の危険性も高まります。また、家族などの介護者は半数以上が働いているので、政府が掲げる2020年代初頭の「介護離職ゼロ」の実現どころか、介護離職を選ばざるをえない人が増えかねません。
毎月、40歳以上の被保険者約7,450万人が介護保険料を払い、介護が必要な人たちを支えているのは、病気や障害を持つ高齢者の尊厳を守るためです。
「生活援助」の削減案は公表されて以来、介護を必要とする人や介護者を不安に陥れています。
病気や障害があっても安心して「介護のある暮らし」を続けることができるよう、介護保険のサービスに「生活援助」を堅持することを求めます!
2.「利用料が払えないので、サービスが使えない」という人を増やさないでください!
政府はまた、「軽度者が支払う利用者負担額が、中重度者が支払う利用者負担額と均衡する程度まで、要介護区分ごとに、軽度者の利用者負担割合を引き上げるべき」と求めています。
要介護度が低い場合、サービス水準は変わらないのに、利用者負担だけが増えるというのは、被保険者にとって納得できるものではありません。
昨年8月、「一定以上の所得」がある人は利用料が1割から2割になり、負担が2倍になりました。
「一定以上の所得」とは、高齢者のうち「相対的に負担能力のある所得」と定義され、ひとり暮らしで年収280万円以上(合計所得金額160万円以上相当、月額約13万円)、夫婦で年収346万円以上(合計所得金額280万円、月額約23万円)となっています。
しかし、「一定以上の所得」がある人は高所得者ではなく、サービスを中止する人や、サービス量を減らす人が出ています。
介護保険の利用者は年金生活者がほとんどで、ひとり暮らし、高齢夫婦世帯ともに家計支出は毎月赤字で、預貯金を取り崩して補っています。
介護保険料を年金から天引きされ、介護が必要と認定を受けているにもかかわらず、利用料の引き上げによりサービスをあきらめる人が出るのは、介護保険制度の原則に反します。
自宅に暮らす高齢者の実態調査もないなか、合理的な根拠もなく、利用者負担の引き上げを検討することは中止してください!
要望書「安心できる介護保険制度を!」賛同人
相内 彩子(外ヶ浜町三厩高齢者生活福祉センター寿楽園)
相内 秀子(外ヶ浜町三厩高齢者生活福祉センター寿楽園)
秋元 東
秋元 和恵
浅川 典子
阿部 則子(外ヶ浜町三厩高齢者生活福祉センター寿楽園)
阿部 治正(社民党流山支部)
天野 まち子/新井 幸恵(全国老人福祉問題研究会)
飯田 孝雄
五十嵐 麗華(外ヶ浜町三厩高齢者生活福祉センター寿楽園)
幾島 裕代
池田 章子(長崎市議会議員)
池田 惠利子(公益社団法人あい権利擁護支援ネット)
池田 登美子(I女性会議)
石川 千枝(特定非営利活動法人太陽)
石毛 鍈子
石澤 絵梨(外ヶ浜町三厩高齢者生活福祉センター寿楽園)
石澤 千代美(外ヶ浜町三厩高齢者生活福祉センター寿楽園)
磯辺 香代
市川 若子(労住医連)
伊藤 真美(花の谷クリニック院長)
伊藤 友主我
井堀 哲(弁護士)
今別町ホームヘルパーステーションひより
入澤牧子
入野 豊(大森山王居宅介護支援事業所)
入日 時子
岩下 太郎
岩瀬 はるみ(市民活動団体ZUTTO-KOKO、ケアラーズカフェKIMAMA主宰)
岩谷 有希恵
岩谷 靖子
宇佐美 暢子
内田 耕司(弁護士)
内海 和子
浦辺 洋介
海野 仁志(弁護士)
越膳 綾子(フリーライター)
NPO法人ごしょがわら恵鈴会
大江 京子(弁護士)
大河 巳渡子(調布市議会)
大河原 雅子(リベラル市民政治研究所、元参議院議員)
大澤 美千代(外ヶ浜町三厩高齢者生活福祉センター寿楽園)
太田 誠(行政書士&社会福祉士)
小笠原 留美子
岡本 京子(外ヶ浜町三厩高齢者生活福祉センター寿楽園)
岡本 惠子(株式会社丸利)
小川 亜希子(みなみケアサービス)
小川 正浩(地域ケアのこれからを考える市民の会)
沖藤 典子(ノンフィクション作家)
奥野 真弓(守山市議会)
小倉 良夫(野田市議会議員)
押味 成美
小竹 雅子(市民福祉情報オフィス・ハスカップ)
尾谷 則昭(社会福祉法人一麦福祉会理事)
折原 和代
鏡 諭(淑徳大学コミュニティ政策学部教授)
加瀬 庫蔵(銚子市議会議員)
片野 無事生(社会福祉士)
勝田 登志子(公益社団法人認知症の人と家族の会富山県支部)
加藤 朋子(さくら市議会)
兼古 博行
㈱ケアライフ青森大畑営業所
株式会社芙蓉
河合 力哉
川村 千穂子(外ヶ浜町三厩高齢者生活福祉センター寿楽園)
木崎 志づ香
木村 多穂子(外ヶ浜町三厩高齢者生活福祉センター寿楽園)
木村 まゆみ(外ヶ浜町三厩高齢者生活福祉センター寿楽園)
くさか 里樹
工藤 仁美(元衆議院議員)
栗原 直美
桑原 輝子(I女性会議)
ケアプランセンター オードリー
高齢社会をよくする女性の会・大阪
古賀 典夫(怒っているぞ!障害者きりすて!全国ネットワーク)
小鹿 ミユキ(外ヶ浜町三厩高齢者生活福祉センター寿楽園)
小島 華子
小島 美里(特定非営利活動法人暮らしネット・えん代表理事)
小林 新吾
小林 わかば
小西雅子
小宮 清子(社民党)
斎藤 竜太
早乙女 順子(NPO法人アスク)
坂巻 フミエ
坂本 洋子(ケアサポートゆう)
櫻井 美智代
貞光 信義(弁護士)
佐藤 千景
澤崎 知栄子(テルウェル東日本神奈川ケアプランセンター)
塩崎 典子(ケアプランセンター オードリー)
鹿倉 泰祐(東京福祉・まちづくりネット代表理事)
鹿庭 勝子
篠原 由実子
嶋根 秀男((有)江東ヘルパーステーション代表取締役)
障子 美幸(外ヶ浜町三厩高齢者生活福祉センター寿楽園)
新山 真紀子(ケアプランセンター オードリー)
新堂 喜代子(美土里荘訪問介護事業所)
陣内 泰子
鈴木 順子(館山市議会議員)
鈴木 康子
前場 和吉
杣谷 久美子(外ヶ浜町三厩高齢者生活福祉センター寿楽園)
髙橋 恵美
高橋 広子(I女性会議)
高林 実結樹(特定非営利活動法人認知症予防ネット)
武田 肇美
武田 泰典
武原 光志(社会福祉法人光風会理事)
田中 元(フリーライター)
田中 礼子/田邊 薫(NPO法人暮らしネット・えん)
田部井 康夫(公益社団法人認知症の人と家族の会副代表理事、社会保障審議会介護給付費分科会委員)
田村 千賀子(社会福祉法人七峰会サンアップルヘルパーセンター)
田村 みさ子(日の出町議会)
丹治 千代子(社会民主党福島県連合)
塚本 聡(富山総合福祉研究所)
附田 恭子(ケアサポートゆう)
寺沢 文子
戸津川 弦
豊田 保
中澤 まゆみ(ノンフィクションライター)
中島 美穂子(外ヶ浜町三厩高齢者生活福祉センター寿楽園)
中野 正子(みなみケアサービス)
中村 昭司(福祉問題を考える会)
中村 ひろ子(I女性会議)
奈良 金次郎(外ヶ浜町三厩高齢者生活福祉センター寿楽園)
新美 みつ子
二階堂 剛(松戸市議会議員)
沼村 均
乗田 裕輔(ヘルパーサービス憩いの杜)
羽石 芳恵(介護ショップハーティケア)
白石 恵子/橋村 寿人(株式会社シルバー産業新聞社)
橋本 透(ささえあい東藤沢)
服部 万里子(服部メディカル研究所所長)
花俣 ふみ代(公益社団法人認知症の人と家族の会本部常任理事、埼玉県支部代表世話人)
馬場 真知子
早川 真(我孫子市議会)
林 嘉繁
林 洋子
樋口 けい子
日野 博
平野 ゆかり(外ヶ浜町三厩高齢者生活福祉センター寿楽園)
福士 栄一(外ヶ浜町三厩高齢者生活福祉センター寿楽園)
藤澤 整(弁護士)
藤森 宮子
藤山 康広
藤山 玲子
藤原 幸雄(特定非営利活動法人みずきの会理事長)
布施 幸彦(ふくしま共同診療所院長)
古谷 葉子
訪問介護あずましや
堀 夫紗子(つながろう入間)
本澤 宏美/前川 禮太郎(介護保険むさしの市民の会)
前田 くにひろ(文京区議会議員)
増田 一世(公益社団法人やどかりの里常務理事)
増渕 さつき(栃木県芳賀町議会議員)
増山 道康(中部学院大学人間福祉学部)
松崎 裕子
松村 泰恵
松本 啓子
水下 明美(ケアマネジャー)
みなみケアサービス
宮田 清子(柏市議)
宮田 信之(宮田医院)
宮田 律子(みなみケアサービス)
むつ市ホームヘルパーステーション
村尾 光子(栃木県下野市議会)
村上 一夫(ケアマネジメント・クル―プラスワン)
村上 克子(I女性会議)
村上 正治(ろっこう医療生活協同組合理事長)
森 妙子
森口 秀志(ジョイカレッジ結)
森 敏一
森 正子
八木 正孝(テルウェル神奈川ケアプランセンター)
安岡 芙美子(全国老人福祉問題研究会)
山口 洋子
山崎 富貴枝
山下 競子
山田 大輔(ケアプランセンター オードリー)
山本静江
山本 由起子(金沢市議会)
結城 康博(淑徳大学教授)
有限会社ケアサービス弘前
有限会社ケアサポート健美
横山 一枝
吉岡 成夫(NPOコスモス相談役)
吉澤 徹
若尾 明子(NPO法人クッキープロジェクト)
脇川 美智代
渡辺 秀雄(東京ユニオン)
渡辺 惠
渡邊 陽一郎(みなみケアサービス)
(2016年11月10日現在)
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