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2023.01.30 厚生労働省ヒアリング報告1
介護保険料の引き上げ、2割負担の拡大
1月30日、大河原まさこ衆議院議員の厚生労働省ヒアリングに同席しました。昨年12月、社会保障審議会介護保険部会がまとめた『介護保険制度の見直しに関する意見』の内容についてポイントを報告します。(市民福祉情報オフィス・ハスカップ 小竹雅子)
厚生労働省ヒアリング報告
1 第1号介護保険料の引き上げ、利用料2割負担の拡大
2 老健と介護医療院の室料(相部屋)を新設
3 ケアマネジメントの有料化と「生活援助」カット
4 ホームヘルプとデイの「複合型」を新設
5 特養の「特例入所」
6 有料老人ホームは「混合型」と「専用型」
7 増える地域支援事業のメニュー
8 高齢者虐待防止への対応
9 インセンティブ交付金の評価指標
厚生労働省ヒアリング報告1 介護保険料の引き上げ、2割負担の拡大
「高所得の1号保険料の負担」と「一定以上所得の判断基準」は、今年9月には結論
質問1.
昨年12月にまとめられた社会保障審議会介護保険部会の『意見』では、「高所得の1号保険料の負担」と「一定以上所得の判断基準」は「第9期計画に向けて結論」として「来夏までに審議」となりました。「来夏」とはすでに今年夏になりますが、結論を出すまでのスケジュールと予定期限を教えてください。
厚生労働省回答:
スケジュールは介護保険部会長とも相談して今後になりますが、10月では「夏」とはいえないと考えます。
見直しを行うとすると、自治体の介護保険事業計画、予算、システム対応などの準備期間を十分確保することを考えると、夏めどに結論を出す必要があります。
現在、決まっていることはありませんが、介護保険部会でご議論いただいて、夏までに結論を出す。社会通念的に考えると、10月は秋だと思うので、遅くならないようにしたいと考えています。
引き上げの基準は個人ベースプラス世帯勘案
質問2.
第1号介護保険料の「高所得」と利用者負担の「一定以上所得」の具体的な所得金額を教えてください。
厚生労働省回答:
介護保険料は個人所得をベースに考え、世帯もプラスして考えます。
利用者負担は、3割負担の判定の場合は、本人の合計所得が220万以上であることが第一要件ですが、それではきめ細やかさに欠ける部分があるため世帯の所得を考慮しています。
いずれも個人ベースで考えており、世帯はプラス勘案となっています。
「高所得」には明確な定義はない
質問3.
第1号介護保険料は所得に応じて9段階に分かれていますが、「高所得」とはどの段階になるのか教えてください。
厚生労働省回答:
「高所得」を明確に示したことはありません。第9段階が高所得と考えていますが、グラデーションがあるので、明確な基準があるわけではありません。
社会保険の被保険者負担に「資産」勘案はない
質問4.
介護保険部会では、被保険者の資産を捕捉すべきという委員意見がありましたが、社会保険において保険料や利用者負担の設定に資産を勘案する例があるなら教えてください。
厚生労働省回答:
現時点で日本国内での資産勘案の例は把握していません。福祉的な生活保護や補足給付は勘案していますが、社会保険においては把握していません。
社会保険制度で独自で資産を勘案することはありませんが、国民健康保険の保険料のなかで、市町村によっては、固定資産税の額に率をかけ、資産割(※)をするところもあると聞いています。ただし、介護保険部会でのご議論は、資産割を入れるということではないと思います。
※厚生労働省保険局調査課
「平成27年度市町村国民健康保険における保険料の地域差分析 (2017年8 月)」
市町村国保の保険料算定方法について
所得割率、資産割率、1人当たり均等割額及び1世帯当たり平等割額は各保険者の条例において定められている。多くの保険者では、世帯所得額として旧ただし書所得を使用し、世帯資産額として固定資産税額を使用している。
追加質問:
「高所得」の基準が示されないまま、議論ができるのでしょうか?
厚生労働省回答:
介護保険部会では高所得の方にもう少しご負担いただくという考えに異論はありませんでした。
どこを対象にするのかという議論を今夏までに深めていかなければなりません。
追加質問:
介護保険部会で「高所得」のラインを引くのか、抽象的な表現だけで合意して、あとは厚労省が決めていくことになるのでしょうか?
厚生労働省回答:
どのように進めるかは部会長と検討したいと考えています。どこまでを基準を示すのか、今は言えませんが、昨年末の取りまとめから一段深めた内容を示せないかと考えています。
案を示して議論を深めていただき、夏までにとりまとめられたらと考えています。
[関連資料]
厚生労働省老健局
〇社会保障審議会介護保険部会(菊池馨実・部会長)『介護保険制度の見直しに関する意見』(2022.12.20公表)
Ⅱ 介護現場の生産性向上の推進、制度の持続可能性の確保 
2.給付と負担(P.30)
(1)高齢者の負担能力に応じた負担の見直し
(1号保険料負担の在り方)
○国の定める標準段階の多段階化、高所得者の標準乗率の引上げ、低所得者の標準乗率の引下げ等について検討を行うことが適当である。
(「現役並み所得」、「一定以上所得」の判断基準)
○「一定以上所得」(2割負担)の判断基準について、後期高齢者医療制度との関係、介護サービスは長期間利用されること等を踏まえつつ、高齢者の方々が必要なサービスを受けられるよう、高齢者の生活実態や生活への影響等も把握しながら検討を行い、次期計画に向けて結論を得ることが適当である。
○ 「現役並み所得」(3 割負担)の判断基準については、医療保険制度との整合性や利用者への影響等を踏まえつつ、引き続き検討を行うことが適当である。
おわりに(P.41)
次期計画に向けて結論を得ることが適当とされた事項については、遅くとも来年夏までに結論を得るべく、引き続き本部会における議論を行う必要がある。

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