お問い合わせ

メールマガジン登録 ハスカップについて 

記事検索

2023.01.30 厚生労働省ヒアリング報告8
高齢者虐待防止への対応
1月30日、大河原まさこ衆議院議員の厚生労働省ヒアリングに同席しました。昨年12月、社会保障審議会介護保険部会がまとめた『介護保険制度の見直しに関する意見』の内容についてポイントを報告します。(市民福祉情報オフィス・ハスカップ 小竹雅子)
厚生労働省ヒアリング報告
1 第1号介護保険料の引き上げ、利用料2割負担の拡大
2 老健と介護医療院の室料(相部屋)を新設
3 ケアマネジメントの有料化と「生活援助」カット
4 ホームヘルプとデイの「複合型」を新設
5 特養の「特例入所」
6 有料老人ホームは「混合型」と「専用型」
7 増える地域支援事業のメニュー
8 高齢者虐待防止への対応
9 インセンティブ交付金の評価指標
厚生労働省ヒアリング報告8 高齢者虐待防止への対応
介護労働者に対する虐待防止のための支援策は?
質問18.
新型コロナウイルス感染症の拡大による人材不足の加速や精神的な疲労の蓄積が主因となる虐待事例があるようですが、介護労働者に対して虐待防止のための支援策はないのですか?
厚生労働省回答:
2021年度に基準省令改正(※)を行い、2024年4月1日までに①虐待防止のための委員会設置、②指針整備、③研修の定期的開催、④虐待防止を適切に実施するための担当者をおくことを義務づけます。研修ではストレスマネジメント、アンガーマネジメントなどを含め、委員会の運営の仕方、指針内容を示しています。
「運営基準改正における虐待防止規定の創設 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準等の一部を改正する省令(2021年厚生労働省令第9号)
厚生労働省老健局認知症施策・地域介護推進課「介護保険法施行規則第 140 条の 63 の6第1号に規定する厚生労働大臣が定める基準について」(2021年3月19日老認発0319第2号)九 虐待の防止(基準告示第9条)
自立した高齢者への「虐待防止」
追加質問:
「養護、被養護の関係にない者からの虐待事案が発生している」とありますが、具体的にどのような関係の者なのか、教えてください。
厚生労働省回答:
いわゆる「8050問題」があり、自立した高齢者がひきこもりのこどもから虐待される事例やDVなどを想定しています。
高齢者虐待防止法は、高齢者65歳以上が被害者、被虐待者の場合の法律であり、息子さんや娘さんのケアを高齢者がしており、自立している高齢者が中高年の女性男性から叩かれた場合、高齢者虐待防止法は範疇に入らないのです。
追加質問: 
介護されているわけではないが、虐待を受けているということですか?
厚生労働省回答:
そうです。それ以外にも高齢者DV関係で、自立した方同士のDVはDV防止法の対応となりますが、相談として入ってきます。
追加質問:
特殊詐欺の被害にあう高齢者が増加している印象があり、被害額も大きくなっていますが、介護保険制度に対策があるのかどうか、教えてください。
厚生労働省回答:
高齢者虐待防止法27条(※)に財産上の不当取引による被害の対応があり、高齢者支援課や地域包括支援センターの職員が消費者生活センターや社協の日常生活自立支援事業、警察、法テラスの弁護士、地域ケア会議などにつなげていく対応策をしています。
高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律
(財産上の不当取引による被害の防止等)
第二十七条 市町村は、養護者、高齢者の親族又は養介護施設従事者等以外の者が不当に財産上の利益を得る目的で高齢者と行う取引(以下「財産上の不当取引」という。)による高齢者の被害について、相談に応じ、若しくは消費生活に関する業務を担当する部局その他の関係機関を紹介し、又は高齢者虐待対応協力者に、財産上の不当取引による高齢者の被害に係る相談若しくは関係機関の紹介の実施を委託するものとする。
特殊詐欺と認知症の関係
追加質問: 
特殊詐欺の被害者は、認知症の有無がわかりませんが、調べていないのですか?
厚生労働省回答:
高齢者虐待のなかで確かに特殊詐欺にあった方がいます。高齢者虐待のなかで調べると8割~9割は認知症の方になります。
追加質問:
警察庁などに被害者のなかに、介護保険の認定者はいるのか、認知症はいるのかを聞かなければならないということですか?
厚生労働省回答:
全体としてはそうです。
[関連資料]
厚生労働省老健局
〇社会保障審議会介護保険部会(菊池馨実・部会長)
『介護保険制度の見直しに関する意見』(2022.12.20公表)
Ⅰ 地域包括ケアシステムの深化・推進
1.生活を支える介護サービス等の基盤の整備 
(高齢者虐待防止の推進)(P.13)
〇高齢者の住まいの形態が多様化している状況を踏まえ、サービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホーム等、高齢者が利用する施設等に対して、指針の整備など虐待防止措置を適切に講じてもらうための方策を講じることを含め、虐待防止対策を推進していくことが適当である。
〇適切な手続を経ていない身体的虐待に当たる身体拘束が依然として発生している状況を踏まえ、在宅サービスにおける身体拘束の適正化を図るための介護報酬上の取扱いや身体拘束を要しない介護技術の普及を含め、正当な理由がない身体拘束の防止のための方策を検討することが適当である。
また、養護、被養護の関係にない者からの虐待事案が発生していることを踏まえ、「養護者」に該当しない者からの虐待防止のための方策を講じることが適当である。

—–