2023.11.16 介護給付費分科会 第231回 福祉用具、特定施設、施設系サービス [論点]と[対応案]
【社会保障審議会介護給付費分科会】
第231回(2023.11.16)
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厚生労働省老健局
〇社会保障審議会介護給付費分科会(田辺国昭・分科会長)
第232回(2023.11.26)午後開催予定
[関連記事]
□介護報酬の引き上げに審議会で反対の声 「現役世代はこれ以上の負担増に耐えられない」(2023.11.20ケアマネタイムス)
【福祉用具】
第231回(2023.11.16)
論点1 福祉用具貸与・販売のあり方
論点2 一部貸与種目・種類における貸与と販売の選択制の導入
論点3 福祉用具貸与に係る上限価格の改定のあり方
[選択制の導入]
福祉用具貸与の保険給付の状況
要介護度別では、要介護2以下の者が給付件数の約6割を占めている。
給付制度の概要
① 貸与の原則
利用者の身体状況や要介護度の変化、福祉用具の機能の向上に応じて、適時・適切な福祉用具を利用者に提供できるよう、貸与を原則としている。
② 販売種目
貸与になじまない性質のもの(他人が使用したものを再利用することに心理的抵抗感が伴うもの、使用によってもとの形態・品質が変化し、再利用できないもの)は、福祉用具の購入費を保険給付の対象としている。
論点2 一部貸与種目・種類における貸与と販売の選択制の導入
[論点]
一部の貸与種目・種類は、過去の給付データ等より確認できる利用実態等を見ると、購入した方が負担が抑えられる者の割合が相対的に高いため、福祉用具貸与と特定福祉用具販売の選択を可能とすることが合理的と考えられる。
[対応案]
「介護保険制度における福祉用具貸与・販売種目のあり方検討会」において取りまとめられた次の事項に係る対応の方向性を踏まえ、一部貸与種目・種類における貸与と販売の選択制を導入することとしてはどうか。
[選択制の対象とする種目・種類]
○ 貸与と販売の選択が可能な種目・種類は、要介護度に関係なく給付が可能な福祉用具のうち、
・ (利用者が購入の判断を行いやすい)比較的廉価なものであり、
・ これまでの利用実績のデータをもとに、希望小売価格を1ヶ月の貸与価格で除して算出した月数(以下「分岐月数」という。)より平均貸与月数が長い若しくは同等、かつ、分岐月数より長く利用している者の割合が相対的に高いもの(およそ4割程度以上)とする。
○ 具体的には、「固定用スロープ」「歩行器」「単点杖(松葉杖を除く)」「多点杖」の4つとする。なお、これらは可動部がない用具が多く、利用開始後のメンテナンスの必要性が比較的低いと考えられるものである。
○ また、貸与と販売の選択を利用者の意思に委ねるのであれば、対象種目・種類を限定する必要はないのではないかと
いう意見も考えられるが、利用者の多くが貸与を志向しているといった調査結果を踏まえると、一定以上の者が長期利用しているといった、購入することが一定程度合理的であると客観的に考えられる種目・種類について導入することが適当であると考えられる。
[関連資料]
請求事業所 7,180事業所
受給者 258.5万人
主な制度改正等
2006年度 要支援者・要介護1の者について、車いす、特殊寝台等は給付の対象外
[関連会議]
厚生労働省老健局
〇介護保険制度における福祉用具貸与・販売種目のあり方検討会(野口晴子・座長)
2-3.一部貸与種目・種類における貸与と販売の選択制の導入
具体的には、「固定用スロープ」「歩行器」 「単点杖」「多点杖」の4つとする。これらは可動部がない用具が多く、購入後のメンテナンスの必要性が比較的低いと考えられるものである。
[関連記事]
□[まとめ]福祉用具貸与・販売の選択制のポイント 具体案はどんな中身? 福祉用具 介護給付(2023.11.24ケアマネタイムス)
□福祉用具貸与・販売の選択制、来年度導入決まる ケアマネらが多職種の意見を踏まえ提案(2023.11.22ケアマネタイムス)
□福祉用具の「貸与と販売の選択制」、厚労省が提案-一部の貸与種目・種類で(2023.11.17キャリアブレイン)
□福祉用具、物価高騰で1割強が上限価格アップ 半年ごとの実態把握へ 必要に応じて上限制の特例を検討(2023.11.16シルバー産業新聞)
【介護付き有料老人ホーム】
論点1 医療的ケアへの対応(夜間看護体制加算)
論点2 医療的ケアへの対応(入居継続支援加算)
[関連資料]
請求事業所 6,022事業所
有料老人ホーム 5,010事業所
軽費老人ホーム 575事業所
養護老人ホーム 437事業所
受給者 27.0万人
平均要介護度
特定施設入居者生活介護 2.70
地域密着型特定施設入居者生活介護 2.84
第8期介護保険事業計画におけるサービス量等の見込み
2020年度 26万人(実績)
2025年度 32万人
2040年度 37万人
医療的ケアを必要とする利用者
2019年度の同様の調査と比較すると、医療的ケアを必要とする利用者の割合は全体的に横ばいで推移している。
[関連記事]
□特定施設入居者介護の夜間看護体制加算を見直しへ-厚労省が介護給付費分科会に対応案を提示(2023.11.16キャリアブレイン)
【特別養護老人ホーム】
論点1 緊急時の医療提供体制の整備等
論点2 透析が必要な入所者の送迎・付き添いの評価
論点3 小規模介護老人福祉施設等の基本報酬の見直し
論点4 小規模介護老人福祉施設の配置基準の緩和
論点5 ユニットケアの質向上・普及促進
論点4 小規模介護老人福祉施設の配置基準の緩和[対応案]
離島・過疎地域に設置されている定員30名の介護老人福祉施設について、処遇等が適切に行われる場合に限り、地域密着型介護老人福祉施設と同様に、短期入所生活介護事業所等を併設する場合に生活相談員等を置かないことができることとしてはどうか。
[関連資料]
請求事業所 10,823事業所
受給者 63.2万人
平均要介護度
介護老人福祉施設 3.94
地域密着型介護老人福祉施設 3.98
第8期介護保険事業計画におけるサービス量等の見込み
2020年度 62万人(実績)
2025年度 71万人
2040年度 82万人
[関連記事]
□[まとめ]特養の医療体制強化、厚労省が介護報酬改定に向けて提案したこと(2023.11.20ケアマネタイムス)
□「実態上大規模」の小規模特養、基本報酬の見直しを-離島・過疎除き1年間の経過措置 厚労省案(2023.11.17キャリアブレイン)
□透析が必要な利用者の送迎に新たな評価を-厚労省が提案、施設での受け入れ負担軽減へ(2023.11.16キャリアブレイン)
【老人保健施設】
論点1 介護老人保健施設の在宅復帰・在宅療養支援機能の強化
論点2 リハビリテーション機能の強化(短期集中リハビリテーション実施加算)
論点3 リハビリテーション機能の強化(認知症短期集中リハビリテーション実施加算)
論点4 リハビリテーション・口腔・栄養の一体的取組の推進
論点5 入所者への医療提供(所定疾患施設療養費)
論点6 看取りへの対応の充実(ターミナルケア加算)
論点7 ポリファーマシー解消の推進(かかりつけ医連携薬剤調整加算)
論点8 報酬体系の整理・簡素化(地域連携診療計画情報提供加算、認知症情報提供加算)
[関連資料]
請求事業所 4,230事業所
受給者 35.6万人
平均要介護度 3.2
第8期介護保険事業計画におけるサービス量等の見込み
2020年度 35万人(実績)
2025年度 39万人
2040年度 44万人
[関連記事]
□老健、基本報酬を見直し 在宅復帰の機能を更に強化 厚労省(2023.11.21ケアマネタイムス)
【介護医療院】
論点1 看取りへの対応の充実
論点2 療養病床からの移行の評価
[関連資料]
請求事業所 673事業所
受給者 4.1万人
平均要介護度 4.2
第8期介護保険事業計画におけるサービス量等の見込み
2020年度 3.4万人(実績)
2025年度 6.5万人
2040年度 7.4万人
[参考記事]
□介護医療院106施設の4割が赤字、昨年度-福祉医療機構「経営年々悪化の傾向」(2023.11.14キャリアブレイン)
【経営実態調査】
第231回(2023.11.16)
[関連資料]
厚生労働省老健局
〇社会保障審議会介護給付費分科会介護事業経営調査委員会(田辺国昭 ・委員長)
委員名簿
泉千夏 EY新日本有限責任監査法人 FAAS事業部シニアマネージャー
田辺国昭 国立社会保障・人口問題研究所所長(社会保障審議会介護給付費分科会会長)
野口晴子 早稲田大学政治経済学術院教授(社会保障審議会介護保険部会委員)
堀田聰子 慶応義塾大学大学院健康マネジメント研究科教授(社会保障審議会介護給付費分科会委員)
松本庄平 独立行政法人福祉医療機構 経営サポートセンターリサーチグループ グループリーダー
[関連記事]
□施設系の厳しさ際立つ経営実態だが…。 居宅系の大きなコスト問題も進行中? 施設系は大幅な改定アップとなりそうだが… 深刻な人材不足の解消に必要なことは何か 先が見えない中での居宅系の揺れ動き(2023.11.21ケアマネタイムス)
□収支差率 特養・老健 初のマイナス 全サービスの半数で収支悪化(2023.11.16シルバー新報)
□介護サービスの利益率、過去最低2.4% 施設系が大きく悪化 物価高など直撃=経営実態調査(2023.11.13ケアマネタイムス)
【高齢者施設等と医療機関の連携強化】
論点1 協力医療機関との連携体制の構築
論点2 入院時の医療機関への情報提供
論点3 医療機関からの患者受け入れの促進
[関連資料]
2024(令和6)年度の同時報酬改定に向けた意見交換会(出席者)
小塩 隆士 一橋大学経済研究所教授(中央社会保険医療協議会会長)
田辺 国昭 国立社会保障・人口問題研究所所長(社会保障審議会介護給付費分科会会長)
長島 公之 日本医師会常任理事
江澤 和彦 日本医師会常任理事
池端 幸彦 日本慢性期医療協会副会長
田中 志子 日本慢性期医療協会常任理事
林 正純 日本歯科医師会常務理事
田母神 裕美 日本看護協会常任理事
森 昌平 日本薬剤師会副会長
松本 真人 健康保険組合連合会理事
東 憲太郎 全国老人保健施設協会会長
古谷 忠之 全国老人福祉施設協議会参与
稲葉 雅之 民間介護事業推進委員会代表委員
濱田 和則 日本介護支援専門員協会副会長
[関連記事]
□介護保険施設に協力医療機関定める義務を 厚労省案-委員からは「地域によっては困難」と指摘相次ぐ(2023.11.16キャリアブレイン)
□特養、協力病院の確保義務化 入所者の急変に対応(2023.11.16日経新聞)
□「協力医療機関」設置を義務化 施設入所者の急変備え―厚労省(2023.11.16時事通信)
□特養など 入所者急変に「協力医療機関」の定め義務化へ 厚労省(2023.11.15NHK)
【予算案】
2023年度補正予算案/政府
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財務省
一般会計補正予算の追加歳出 13兆1,272億円
定額減税による「還元策」及びその他関連経費との合計 17兆円台前半程度
[明細抜粋]
Ⅱ.地方・中堅・中小企業を含めた持続的賃上げ、所得向上と地方の成長を実現する 1兆3,303億円(10%)
介護職員処遇改善 581億円
Ⅳ.人口減少を乗り越え、変化を力にする社会変革を起動・推進する 1兆3,403億円(10%)
認知症関連施策 409億円(※ほかの柱に整理されている事業も含んだ金額)
2023年度補正予算案/介護職員処遇改善581億円
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厚生労働省老健局
〇2023(令和5)年度補正予算案の主要施策集
・介護職員処遇改善支援事業等 364億円
[概要]介護職員を対象に、賃上げ効果が継続される取組を行うことを前提として、介護職員等ベースアップ等支援加算に上乗せする形で、収入を2%程度(月額平均6,000円相当)引き上げるための措置を行う。
[実施要件(対象、補助率等)]
対象期間:2024年2月~5月の賃金引上げ分(以降も、別途賃上げ効果が継続される取組みを行う)
補助金額:対象介護事業所の介護職員(常勤換算)1人当たり月額平均6,000円の賃金引上げに相当する額。
対象サービスごとに介護職員数(常勤換算)に応じて必要な交付率を設定し、各事業所の総報酬にその交付率を乗じた額を支給。
対象職種:介護職員(事業所の判断により、他の職員の処遇改善にこの処遇改善の収入を充てることができるよう柔軟な運用を認める。)
・介護サービス事業者の生産性向上や協働化等を通じた職場環境改善事業 351億円
[概要]生産性向上の取組を通じた職場環境改善について、ICT機器本体やソフト等の導入や更新時の補助に係る支援に加え、地域全体で事業所における機器導入やそれに伴う人材育成に対する補助を行う。
また、小規模事業者を含む事業者グループが協働して行う職場環境改善の取組に対して補助を行う。
・介護ロボット開発等加速化事業 3.9億円
・ケアプランデータ連携システム構築事業 2.1億円
・介護職員処遇改善加算等の取得促進支援事業 1.1億円
・介護関連データ利活用に係る基盤構築事業(団体分) 19億円
・共生社会の実現を推進するための認知症基本法に基づく都道府県・市町村の認知症施策推進計画の策定支援 6.3億円
・認知症政策研究事業 5.0億円
・認知症研究開発事業 0.5億円
・地域介護・福祉空間整備等施設整備交付金(通常分) 28億円
・水道施設、医療施設、社会福祉施設等への災害復旧支援(施設整備) 47億円
・社会福祉施設等への災害復旧支援 (設備整備) 2.4億円
[関連記事]
□介護職の6千円賃上げ、ベースアップ加算に上乗せ 居宅ケアマネは対象外 来年2月から 政府(2023.11.14ケアマネタイムス)
□政府、介護職の月6千円賃上げを閣議決定 専門家から追加策を求める声 「この額で人材流出は止まらない」(2023.11.13ケアマネタイムス)
【関連会議】
総合経済対策
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内閣府
〇経済対策等
デフレ完全脱却のための総合経済対策~日本経済の新たなステージに向けて~(2023.11.02閣議決定)
第4節 2.デジタル行財政改革(1)主な改革への取組
[ICT技術等の導入支援、ロボット等を活用する施設の人員配置基準の特例的柔軟化]
第4節 5.人手不足等に対応する制度・規制改革
[介護サービスでの複数事業所での管理者の常勤・専従要件の明確化・緩和]
財政制度等審議会
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財務省
〇財政制度等審議会財政制度分科会(十倉雅和・分科会長)
3.介護報酬改定
介護予防・日常生活支援総合事業の充実に向けた検討会
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厚生労働省老健局
〇介護予防・日常生活支援総合事業の充実に向けた検討会(粟田主一・主査)
外国人介護人材の業務の在り方に関する検討会
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厚生労働省社会・援護局
〇外国人介護人材の業務の在り方に関する検討会(臼井正樹・座長)
以上
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