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[ホームヘルプ・サービスは、訪問型サービスと訪問介護]
介護保険の在宅サービスのなかで、利用者の人気ナンバーワンだったホームヘルプ・サービスは、福祉用具レンタルに一番の座をゆずり、デイサービスについで三番手になりました。
順位が落ちている理由は、制度の見直しで給付の抑制が続いているからです。
介護保険がはじまった2000年度は、すべての認定者が給付の対象でした。
ところが、2005年の介護保険法の改正で、利用者のうち要支援1、2(要支援認定)の人は、「訪問介護」(給付)から「介護予防訪問介護」(予防給付)に移されました。
続く、2006年度の介護報酬(サービス料金)の改定で、「介護予防訪問介護」の報酬は、時間単位の従量制から、月単位の定額制になりました。
厚生労働省は、「定額で、必要なだけサービスを利用できます」と説明しました。
しかし、報酬は週1回程度にプライスダウンとなりました。
また、「訪問介護」は生活援助、身体介護、通院等乗降介助にメニューが分かれていますが、「介護予防訪問介護」では、生活援助と身体介護が統合され、通院等乗降介助がはずされました。
なお、障害福祉サービスと違って、介護保険には外出などの移動サービス(同行援護)、長時間訪問(重度訪問介護)はありません。
2011年の介護保険法の改正では、市区町村の判断で、「介護予防訪問介護」を「介護予防・日常生活支援総合事業」に移すことができる、という見直しがおこなわれました。
「介護予防訪問介護」は給付でしたが、「介護予防・日常生活支援総合事業」は市町村事業(地域支援事業)で、厚生労働省は「財源(介護保険料と税金)は同じ」と説明しながら、「結果として費用の効率化が図られる」としました。
わかりづらい見直しですが、利用者が増えて「訪問介護」の給付額が予算を超えた場合、政府は義務的経費として財源を増やします。
しかし、「介護予防・日常生活支援総合事業」は予算の上限が設定され、要支援認定者が増えて、ホームヘルプ・サービスへの需要が高まっても、市町村が対応できるとは限らないのです。
そして、2014年の介護保険法の改正で、すべての市区町村が「介護予防訪問介護」を市町村事業(地域支援事業)に移すことになり、猶予期間を経て、2019年度以降、要支援1、2の「介護予防訪問介護」は給付から削除されました。
2026年3月現在、要支援1、2の人が利用するホームヘルプ・サービスは、「介護予防・日常生活支援総合事業」の訪問型サービス(正式名称・第1号訪問事業)です。
なお、訪問型サービスを提供するのは、市区町村が委託した事業所で、給付の指定事業所のほか、民間会社や「住民団体」なども可能とされています。
介護保険サービスが必要と認定された708万人のうち、要支援1、2は202万人で、約3割になります(2023年度介護保険事業状況報告年報)。
しかし、訪問型サービスを利用しているのは37万人で、要支援認者の2割弱に過ぎません(介護給付費等実態統計月報2024年4月審査分)。
おまけに、2018年5月の41万人に比べて、4万人も減り、「費用の効率化」が証明されました。
(岩波新書『総介護社会』再構成)

[ホームヘルプ・サービスの新たな見直し]
2024年度の介護報酬改定で、「訪問介護」の基本報酬が引き下げになり、指定事業所の休廃業や倒産の調査レポートがあいついでいます。
日本共産党の機関紙『しんぶん赤旗』は、2025年から「訪問介護事業所が一つもない自治体」の調査を続け、「訪問介護116町村ゼロ 事業所空白止まらず」、「事業所が一つしかない自治体は前回から10増で279市町村」(2026.02.12)と報道しています。
一方、ホームヘルパーの有効求人倍率は、2014年に5.0倍(全職業1.1倍、介護職員2.3倍)と人手不足が明らかになって以降、2019年に15.0倍(全職業1.6倍、介護職員4.3倍)、2024年は14.74倍(全職業1.1倍、介護職員3.3倍)と、歯止めをかける対策がなかったことを証明しています。
在宅介護の主要サービスである「訪問介護」の事業所を増やすには、介護報酬の引き上げとホームヘルパ-の確保が必要なのはあきらかです。
しかし、2025年12月、厚生労働大臣の諮問機関である社会保障審議会は、全国の市町村のうち、「中山間・人口減少地域」にある事業所は「特例介護サービス」に移すことを可能とする『介護保険制度の見直しに関する意見』をまとめました。
介護保険の指定事業所には「指定基準」が定められ、サービスの種類ごとにスタッフ数などの最低基準(人員基準とも呼びます)があります。
「特例介護サービス」は、基準該当サービスと離島等相当サービスで、スタッフが少なくても、指定事業所として経営が可能になります。
ホームヘルパーが確保できず、事業所がゼロになるのはまずいから、事業所の継続が危うい「中山間・人口減少地域」は、人数を減らした「特例介護サービス」の指定事業所を増やしていい、というのです。
これでは、事業所は確保されますが、ホームヘルパーが減るので、訪問できる利用者宅も少なくするしかありません。
また、訪問介護事業所は、これまでの時間単位の報酬のほか、新たに月単位の定額報酬か、選ぶことができる、という提案もあります。
介護報酬タイプを選ぶのは事業所で、利用者ではありません。
さらに、市町村の判断で、要介護1~5が利用しているホームヘルプ・サービス(訪問介護)、デイサービス(通所介護)、ショートステイ(短期入所生活介護)を、市町村事業(地域支援事業)に移すことも可能にするとしています。
これらの見直しで注目すべきは、「中山間・人口減少地域」ではなく、「人口減少地域」です。
社会保障審議会の『意見』は、2026年以降、約7割の市町村で「高齢者人口が減少」することが前提です。
「高齢者人口」は、“65歳以上人口”です。
しかし、介護が必要な年代は、75歳以上がほとんどです。
国立社会保障人口問題研究所は、“75歳以上人口”が最大になるのは、2030年が594市区町村(3割)、2050年が520市区町村(3割)と推計しています(国立社会保障人口問題研究所『日本の地域別将来推計人口(2023年推計)』)。
今後、市町村の約7割が“65歳以上人口”の「減少地域」になっても、同じく約7割の市町村で、“75歳以上人口”の「サービス需要」は増え続けるのです。
介護保険制度の見直しは、法律の改正と介護報酬・基準の改定の組み合わせで、経過措置という猶予期間が設定されるなど、じわじわと進みます。
「中山間・人口減少地域」に暮らす人は、いつのまにか、認定を受けても、必要なサービスを利用できないかも知れないのです。
現在、政府は、利用者のために、訪問介護事業所やホームヘルパーを増やすことは、検討していません。
働く家族介護者の離職を防ぐために、介護保険外サービスとして、「家事支援サービスの国家資格化・経済的支援の進め方」を検討しています。
(『労働者住民医療』405号/2026年2月号「利用者“不本位”な見直しプラン」再構成)

介護報酬
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株式会社東京商工リサーチ(河原光雄・代表取締役社長)
2025年「介護事業者」倒産 過去最多の176件 「訪問介護」の倒産が突出、認知症GHも増加~ 2025年「老人福祉・介護事業」倒産動向 ~(2026.01.09公表)

[関連記事]
「基礎体力」奪われた介護現場にダブルの波 深刻な物価高と人材不足 介護事業者の倒産は2年連続過去最多 訪問介護は24年に基本報酬引き下げ 40年には介護職員57万人不足(2026.02.05毎日新聞)
□[秋田県]介護 報酬低く「人手ぎりぎり」、需要増も事業所は減少(2026.02.06秋田魁新報)
訪問介護の倒産増、自治体の関係者からも危機感 審議会で基本報酬アップを求める声 2027年度改定の焦点に(2026.01.21ケアマネタイムス)
介護事業者倒産過去最多176件 東京商工リサーチ調べ 訪問介護が突出(2026.01.16シルバー新報)
□[神奈川県]介護の「空白地帯」で起きていること 赤字覚悟の訪問、加速の背景 護に感謝も「この先どうなるか…」(2026.01.13毎日新聞)
訪問介護ビジネスの三重苦、国の支援は「中途半端」。大手ですら苦戦、中小事業者は限界 人手不足は深刻(2026.01.04東洋経済オンライン)

[社説]
揺らぐ訪問介護 地域実情即した仕組みに(2026.01.13福井新聞)

ホームヘルパー
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30分で排泄介助から朝食まで…国が“削り続ける”訪問介護サービス時間の裏で「分刻みのケア」を強いられるヘルパーの実態 介護保険制度と「在宅介護」への転換 削られる訪問時間、追い詰められる現場 「1分も無駄にできない」ヘルパーの奮闘 「ゆっくり、やさしく、穏やかに」が許されない現場(2026.02.23弁護士JPニュース)
猛暑でも大雪でも訪問するヘルパー 「移動」の労力、評価は正当か(2026.02.17朝日新聞)
なぜ?「ヘルパーが来てるのにゴミだらけ…」 任せきりにする家族の”大きな誤解”。介護制度の盲点からゴミ屋敷を放置せざるをえなかった 介護ヘルパーがゴミ屋敷の現場に抱えるジレンマ 1人暮らしの親を持つ人が知るべき「現実」(2026.01.31東洋経済オンライン)

[関連資料]
厚生労働省老健局
社会保障審議会介護給付費分科会(分科会長・田辺国昭 東京大学大学院法学政治学研究科教授)第220回(2023.07.24)資料1.訪問介護
訪問介護の報酬
身体介護(排せつ介助、食事介助、入浴介助、外出介助等) 20分未満/20分以上30分未満/30分以上1時間未満/1時間以上
生活援助(掃除、洗濯、一般的な調理等) 20分以上45分未満/45分以上
身体介護に引き続いた生活援助の提供 20分以上/45分以上/70分以上

[参考資料]
厚生労働省老健局
社会保障審議会介護給付費分科会(分科会長・田辺国昭 東京大学大学院法学政治学研究科教授)第249回(2025.12.03)資料2.介護人材確保に向けた処遇改善等の課題
介護職員・訪問介護員の有効求人倍率(2024年)
訪問介護職 14.74倍
施設介護員 3.28倍

「中山間・人口減少地域」(介護保険制度の見直し)
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危機的状況の訪問介護 「農家が老後を地域で暮らせないと食は……」 毎月25万円の赤字、休業も視野に(2026.02.06朝日新聞)

[関連資料]
厚生労働省老健局
社会保障審議会介護保険部会(部会長・菊池馨実 早稲田大学理事・法学学術院教授)「介護保険制度の見直しに関する意見」(2025.12.25公表)
[人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築]
2.中山間・人口減少地域における柔軟な対応等
(特例介護サービスの枠組みの拡張)
中山間・人口減少地域に限定した特例的なサービス提供を行う枠組みとして、特例介護サービスに新たな類型を設けることが適当である。
(地域の実情に応じた包括的な評価の仕組み)
訪問介護について、現行のサービス提供回数に応じた出来高報酬と別途、包括的な評価(月単位の定額払い)を選択可能とすることが適当である。
(介護サービスを事業として実施する仕組み)
要介護者等に対して、訪問介護、通所介護、期期入所生活介護等といった給付で実施するサービスを実施できるようにするとともに、こうしたサービスを組み合わせて提供することが考えられる。

厚生労働省
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厚生労働省老健局
「医療・介護等支援パッケージ」及び「重点支援地方交付金」の双方の活用について(2025.11.28事務連絡)
医療・介護等支援パッケージ(介護分野 2025年度補正予算案 2,721億円)
エ 訪問介護・ケアマネジメントの提供体制確保支援事業 71億円
・ 経験年数が短いホームヘルパーへの同行支援
・中山間地域等における通所介護事業所の訪問機能追加
・訪問介護事業所のサテライト(出張所)の設置
訪問介護事業所の出張所(いわゆる「サテライト」)の設置について(2025.12.26事務連絡)

[参考記事]
訪問介護の倒産急増、人材確保に懸命の厚労省 PR動画・漫画など続々(2026.02.01日経新聞)
制度周知と補正予算で国が推進する訪問介護のサテライト事業。その課題は? 今通知が出された背景には何があるか(2026.01.07ケアマネタイムス)

経営実態調査
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社会保障審議会介護給付費分科会介護事業経営調査委員会(委員長・ 田辺国昭 東京大学大学院法学政治学研究科教授)第43回(2026.01.29)資料1.2026年度介護事業経営実態調査の実施について(案)
・訪問系及び通所系サービスにおけるサービス提供状況に関する項目
2025年度概況調査では、訪問系サービスについて、訪問先の状況、訪問に係る移動手段及び移動時間を把握するための調査項目を追加した。
2026年度実態調査についても、これらの調査項目を反映することとし、反映にあたっては、訪問回数における訪問先の状況をより精緻に把握できるよう見直す。
また、通所系サービスについても、同様の調査項目を追加する。

[関連記事]
訪問介護 高齢者住まいの訪問回数把握へ 経営実態調査、5月実施へ(2026.02.06シルバー新報)

外国人労働者
………………………………
外国人材、訪問介護の壁高く 同行訓練など要件厳しく滑り出し低調(2026.01.10日経新聞)

[参考資料]
厚生労働省社会・援護局
外国人介護人材の業務の在り方に関する検討会(座長・臼井正樹 神奈川県立保健福祉大学名誉教授)

「介護保険外サービス」
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首相官邸
第221回国会における高市内閣総理大臣施政方針演説(2026.02.20公表)
[人材力]
育児、子供の不登校、介護が原因の離職を減らすため、ベビーシッターや家事支援サービスの利用促進に向けた負担軽減に取り組みます。

[関連資料]
内閣官房
〇日本成長戦略本部/日本成長戦略会議
家事等の負担軽減に資するサービスの利用促進に関する関係府省連絡会議 第1回(2026.01.14)資料
資料2ー1.家事等の負担軽減
家事支援サービスの国家資格化・経済的支援の進め方イメージ
資料4.家事支援サービスの利用促進等について(厚生労働省)
2025(令和7)年度民間人材サービスの活用検討事業(効果的な業務提携による家政婦(夫)の職業紹介の検討及び普及促進)
資料5.家事支援サービスの普及・広報・調査(経済産業省)

[参考資料]
自民党
衆院選2026 政策検索
[介護]
・介護提供体制について訪問介護を含む受け皿整備と人材の確保を進め介護離職を防ぎます。

以上