主婦パートとは、自ら働くかたわら、
ほとんどの家事を引き受け、
夫や子どもを有為な人材として社会に送り出す
「良妻賢母」であり、
企業にとっては文句もいわず、
生真面目でていねいな仕事をする貴重な労働者と著者。
非正規雇用が社会問題化しているが、
主婦パートは800万人にのぼり、
パートタイマーの6割、非正社員全体の4割を占めている。
そして、バブル崩壊後、夫の収入が不安定になるなか、
主婦パートは「家計補助」型から
「生活維持」型に変化しているという。
しかし、健康保険料や厚生年金保険料を
納めなくてすむ年収130万円未満で働く
「就業調整」が主婦パートの8割を占め、
企業にとっては「うまみ」のある存在。
1960年代は「パート活用」だったが、
1980年代には「パート戦力化」という第二段階に入り、
管理・監督に従事する「基幹化」が進んだ。
能力や経験が正社員に近づいた結果、
企業は低賃金で社会保険料を負担せずに、
主婦パートに依存する構造になっている。
おまけに、パートの労働組合加入率は5.3%(2009年)で、
サービス残業などの問題があっても、
労働組合活動による解決策からは切り離されている。
その結果、夫が「家事・育児」に協力しないまま、
仕事の負担が増え続け、介護も加わり、
職場と自宅を必死に往復する主婦パートが増加中という。
著者は企業による「つけ込み」と家庭内の「なすりつけ」により、
主婦パートが疲労と消耗のなかで破綻することを危惧。
社会保険の雇用者全員への適用、
短時間勤務の正社員化、
正社員並み賃金の時給換算支払いなどを提言する。
(本田一成著/集英社新書/735円)
