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シカゴを舞台に、V・I・ウォーショースキーという女性探偵が
活躍するシリーズで人気を集める著者。

 

ちりちり髪で、空想好きだった少女は、
「自分の子ども時代を捨てて」弟たちの世話係をさせられた。
両親は社会活動に熱心だったが、
娘の大学進学には否定的な態度しか示さなかった。

 

苦労して入学にこぎつけた大学時代、
60年代の公民権運動の高まりのなかで、
マーティン・ルーサー・キング牧師に出会う。
あらゆる人びとの人権を守る思想は、
「性と生殖の権利」を求める女性解放運動への参加につながり、
ミステリ小説の女性像を打破する
V・I・ウォーショースキーの創造に至る。

 

男性作家中心のミステリ小説では、
「女性は妖婦にも処女にもなれるし、
被害者になることもかなり多いが、
事件を解決する人間にはなれな」かった。
保険会社で働きながら書かれた
長編デビュー作『サマータイム・プルース』に登場した
女性探偵は、失敗もするし、恋愛もする。
友人もいるし、口うるさい隣人もいるという等身大ヒロインだ。

 

公民権運動と共産主義を同一視するレッド・パージにはじまり、
9.11テロ事件を契機に制定された合衆国愛国者法による
個人と「表現の自由」への抑圧に対して、
おだやかに、しかし断固として抗議する一冊でもある。
(サラ・パレツキ―著・山本やよい訳/早川書房/1,890円)