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2022.08.10 2024年の介護保険-「利用者負担見直し」
7月29日、政府の「2023年度予算の全体像」に、介護保険の「利用者負担見直し」が登場しました。
しかし、介護保険制度の見直しを検討する社会保障審議会では「給付と負担」は目次建てがあるだけで、まだ、審議ははじまっていません。
また、政府の「利用者負担」には、具体的内容が示されていません。
とはいえ、政府の見直しの方向性は、「骨太方針2018」から示され続けています。
2022年8月10日現在の関係資料を改めて整理しました。
2019年12月の社会保障審議会
第8期(2018~2020年度)は保留になった「給付と負担」の5項目
厚生労働省老健局
社会保障審議会介護保険部会(遠藤久夫・部会長)
「介護保険制度の見直しに関する意見」(2019.12.27公表)
2.給付と負担
「引き続き検討」の5項目
 (1)被保険者・受給者範囲
 (3)多床室の室料負担
 (4)ケアマネジメントに関する給付の在り方
 (5)軽度者(要介護1・2)への生活援助サービス等に関する給付の在り方
 (7)「現役並み所得」、「一定以上所得」の判断基準
2022年8月の社会保障審議会
「給付と負担」はまだスケジュールのみ
厚生労働省老健局
社会保障審議会介護保険部会(菊池馨実・部会長)
第93回(2022.05.16)資料1「今後の検討の進め方について」
 ・地域包括ケアシステムの更なる深化・推進
 ・介護人材の確保、介護現場の生産性向上の推進
 ・給付と負担
 ・その他
経済財政諮問会議
2022年7月、「利用者負担見直し」を公表
内閣府
経済財政諮問会議(岸田文雄・議長)
第10回(2022.07.29)資料
資料3-1.2023(令和5)年度の予算の全体像
3-(1)社会保障(抜粋)
 ・利用者負担見直しを含む介護保険の持続性確保
政府(経済財政諮問会議)の方向性
2018年から「骨太方針」、「新経済・財政再生計画」に登場している「利用者負担」

[骨太方針2018
内閣府
経済財政諮問会議(安倍晋三・議長)
「経済財政運営と改革の基本方針2018」(2018.06.15閣議決定)
第3章「経済・財政一体改革」の推進(新経済・財政再生計画※)
4-(1)社会保障
見直しの検討
 多床室室料
 介護のケアプラン作成
 介護の軽度者(要介護1・2)への生活援助サービス
 「現役並み所得」の判断基準
※注
「新経済・財政再生計画」は「改革工程表」とも呼ばれる。
「『新経済・財政再生計画』を着実に実行するため、経済財政諮問会議の下に、専門調査会として『経済・財政一体改革推進委員会』を設置」し、以降、「骨太方針」の具体的内容は「新経済・財政再生計画」または「改革工程表」で公表されるようになった。
[新経済・財政再生計画2018
経済財政諮問会議(安倍晋三・議長)
経済・財政一体改革推進委員会(新浪剛史・会長)
「新経済・財政再生計画改革工程表2018」(2018.12.20公表)
2-4 給付と負担の見直し
 57 ケアプラン作成に関する給付
 58 多床室室料に関する給付
 59 軽度者(要介護1・2)への生活援助サービス等に関する給付
 60 医療・介護における「現役並み所得」の判断基準
[新経済・財政再生計画2019
内閣府
経済財政諮問会議(安倍晋三・議長)
経済・財政一体改革推進委員会(新浪剛史・会長)
「新経済・財政再生計画改革工程表2019」(2019.12.18公表)
2-4 給付と負担の見直し
[第8期介護保険事業計画期間に向けて検討]
 52 「能力」に応じた負担
 62 ケアプラン作成に関する給付
 63 多床室室料に関する給付
 64 軽度者(要介護1・2)への生活援助サービス等に関する給付
 65 医療・介護における「現役並み所得」の判断基準
[新経済・財政再生計画2020
内閣府
経済財政諮問会議(菅義偉・議長)
経済・財政一体改革推進委員会(新浪剛史・会長)
「新経済・財政再生計画改革工程表2020」(2020.12.18公表)
1-4 給付と負担の見直し
[第9期介護保険事業計画期間に向けて関係審議会等において結論]
 57 「能力」に応じた負担
 62 ケアプラン作成に関する給付
 63 多床室室料に関する給付
 64 軽度者(要介護1・2)への生活援助サービス・福祉用具貸与に関する給付
 65 医療・介護における「現役並み所得」の判断基準
2020年10月、財務省は「ケアプラン作成に関する給付」について、
利用者負担を導入するほか、福祉用具レンタルを購入に変えることで、
福祉用具レンタルのみの利用者をケアマネジメントからはずすことを提案
財務省
「2020年度予算執行調査の調査結果の概要」(2020.10.07公表)
22. 介護保険サービス(居宅介護支援等)
・ケアマネジメントの質を高めるため、利用者負担を設定
・廉価な福祉用具については、保険給付による貸与から販売に変えることで毎月のケアプラン作成等のケアマネジメントの費用は不要となる
2020年11月、財政制度等審議会は、「給付と負担」の保留に遺憾表明
財務省
財政制度等審議会(榊原定征・会長)
「2021年度予算の編成等に関する建議」(2020.11.25)
 当審議会としては、第8期介護保険事業計画に向けた制度改革が補足給付及び高額介護サービス費の見直しに留まったことは遺憾であり、利用者負担の更なる見直し、ケアマネジメントへの利用者負担の導入、多床室の室料負担の見直し、軽度者(要介護1・2)へのサービスの地域支援事業への移行といった積み残された制度改革の実現に向けて、早急な取組を求めたい。
2021年、政府は2024年度(第9期)に向けて、「関係審議会」に結論を出すことを求める

[新経済・財政再生計画2021
内閣府
経済財政諮問会議(岸田文雄・議長)
経済・財政一体改革推進委員会(新浪剛史・会長)
「新経済・財政再生計画改革工程表2021」(2021.12.23公表)
1-4 給付と負担の見直し
[第9期介護保険事業計画期間に向けて関係審議会等において結論]
 55 「能力」に応じた負担
 60 ケアプラン作成に関する給付
 61 多床室室料に関する給付
 62 軽度者(要介護1・2)への生活援助サービス・福祉用具貸与に関する給付
 63 医療・介護における「現役並み所得」の判断基準
2022年2月、厚生労働省老健局は「介護保険制度における福祉用具貸与・販売種目のあり方検討会」を設置して、「ケアマネジメントの利用者負担の導入等」と「福祉用具貸与に関する給付」を検討中
厚生労働省老健局
介護保険制度における福祉用具貸与・販売種目のあり方検討会(野口晴子・座長)
2022年5月、全世代型社会保障構築会議は、経済財政諮問会議に預ける「中間整理」
内閣官房
全世代型社会保障構築会議(清家篤・座長)
議論の中間整理(2022.05.17公表)
6.医療・介護・福祉サービス(P.4)
 これまでの骨太の方針や改革工程表に沿って着実に進めていくべきである。
2022年5月、財政制度等審議会は利用限度額(区分支給限度基準額)を追加
要介護1・2の「生活援助サービス」ではなく、ホームヘルプ・サービスとデイサービスを給付からはずすことを求めている
財務省
財政制度等審議会(榊原定征・会長)
「歴史の転換点における財政運営」(2022.05.25公表)
介護
 ウ.利用者負担の見直し
 エ.ケアマネジメントの利用者負担の導入等
 オ.多床室の室料負担の見直し
 カ.区分支給限度額の在り方の見直し
 キ.地域支援事業の在り方の見直し
 ク.軽度者(要介護1・2)へのサービス(訪問介護、通所介護)の地域支援事業への移行等
2022年6月、「骨太方針」は「負担の在り方等」の表記のみ。しかし、脚注に従来方針が示されている

[骨太方針2022
内閣府
経済財政諮問会議(岸田文雄・議長)
「経済財政運営と改革の基本方針2022」(2022.06.07閣議決定)
2.持続可能な社会保障制度の構築 (P.30)
・各種保険制度における負担能力に応じた負担の在り方等(※137)の総合的な検討を進める。 
※137 これまでの経済財政運営と改革の基本方針や新経済・財政再生計画改革工程表に掲げられた医療・介護等に関する事項を含む。
以上

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