お問い合わせ

メールマガジン登録 ハスカップについて 

記事検索

著者は免疫学の大家だが、
医療保険のリハビリテーションの日数制限に抗議活動を展開したり、
特別養護老人ホームのショートステイを利用したときの
体験などを新聞紙上にエッセイとして発表するなど、
「偉大なる当事者」だった。

 

2001年、脳梗塞で倒れ、声を失い、半身不随となる。
重い嚥下障害が残り、
食事は「最も苦痛な、危険を伴う儀式」となった。
ようやく50メートル歩けるようになったものの、
別の病気で3週間休めば、
立ち上がることすら難しくなる。

 

本書では、生死をさまよった前後から、
歯を食いしばるリハビリテーションの日々を経て、
身体障害者として再生する
自らの肉体の深部に「巨人」の存在を認識する過程が
綴られている。

 

「弱者は同情を買う存在として位置づけられ、
対等の権利を主張する存在ではない。
社会保障で生かしてはおくが、
大手を振って社会を変革する市民とは認めていない」
という指摘を大切にしたい。
(多田富雄著/集英社文庫/600円)