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 東京都内ではスウェーデンの低価格衣料服店「H&M」の店舗が増えてきた。

 郊外では、家具販売店「イケア」が人気だ。
 高福祉国の企業に、なぜ世界展開が可能なのか、その理由を探ったのが本書。

 

 スウェーデンの国土は日本の1.2倍で、どちらの国も約7割を森林が占める。

 大きな違いは、スウェーデンの自然環境の厳しさで、同国の福祉政策は「互いのたすけあいの精神から生まれた政策理念」と言えるそうだ。

 

 福祉政策に個人負担はなく、制度運営の透明性と政府の説明責任が国民の高い信頼を支えている。

 その原資には、所得税(国税と地方税)の最高税率約55%、消費税25%という大きな個人負担がある。

 だが、社会保険(年金、医療保険、失業保険、介護保険など)は、個人の給与から7%、企業負担が28.6%で、残りは国の負担でせ、個人より企業負担が4倍も高いのが特徴だ。

 

 第二次世界大戦後、スウェーデンは経済成長を実現するために、「女性の就業」に力を入れた結果、伝統的な家族形態が崩れ、子どもの教育、家族ケアが公的福祉に委ねられるようになった。公的福祉の充実と企業の成長は双子の関係にある。

 

 このため、スウェーデンの企業は「国民の経済的厚生の向上に貢献すること」を求められ、企業利益は従業員や株主に還元するものと考えられている。

 「H&M」や「イケア」に代表される企業の戦略は、「すべての国民が購入可能な低価格の商品をつくる」ことと「顧客の個性の違いを尊重して、商品の多様化をはかる」ことだという。

 

 「福祉を国是としている国」は、社会保障制度だけでなく、企業にも一体的な基本理念が浸透していることを教えてくれる一冊。

(北岡孝義著/PHP新書/735円)